第18話 新たな召喚
ブリュンヒルデに辺りを警戒してもらいながら俺は召喚の準備を行う。
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犬 消費LV3
悪魔 消費LV10~50
戦乙女 消費LV15
英雄 消費LV10~50
魔王 消費LV99
ケルベロス 消費LV60
リッチ 消費LV30
ファフニール 消費LV65
サハギンロード消費LV15 NEW
???
???
???
ETC
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相変わらず候補の数はすごいが今の二十五レベルで召喚できるのは一部である。てか、魔王とか召喚できるの本当にやばいよな。
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悪魔 消費LV10~99
英雄 消費LV10~99
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とりあえずの候補は悪魔と英雄だろうか……どちらも強力な能力を持っていそうだが悩ましい。悪魔は通常ダンジョンの深層に生息している魔物で、英雄は歴戦の戦士のことのようだ。とはいえ、英雄も幅広く英雄譚に書かれるような存在から、村の英雄など様々な種類の存在がいるようだ。まあ、俺の憧れのベアトリクスはいないらしいんだけどな。
「なあ、ブリュンヒルデ……悪魔と英雄どっちを召喚すべきだと思う?」
「そうですね……英雄は主に前衛系が、悪魔は魔術などのからめ手を得意とするものが多いと聞いたことがあります。ただ……前衛はマスターを守る仲間である私がいますがそれでは不足でしょうか?」
「いや、そういうわけじゃないんだって!! じゃあ、悪魔にしようかな」
少し拗ねた様子にブリュンヒルデに俺は慌てて返事をする。最初に会ったときは礼儀正しい女騎士という感じだったが、ご飯を食べるときに可愛らしい反応をしたり、嫉妬したりと意外と子供っぽいところがあるんだなと思うとクスリと笑みがこぼれる。
ちょっとバーバラを彷彿させて可愛らしい。
「あ、マスター、今笑いましたね? 私を子供っぽいとか思っていませんか? これでもマスターよりもずっと年上なんですよ!!」
「いや、思ってないって!! いつも年上の頼りになるお姉さんだなって思っているぞ」
心でも読めんのか? この子……と思いつつ俺は誤魔化すように召喚を始める。世界が漆黒に包まれると、一枚のカードがその存在を主張するように俺の視界で回転する。そのカードに描かれているは悪魔か……? まるでフクロウのような頭と狼の胴に蛇の尾をもった異形の存在だ。
悪魔侯爵アモン
召喚したものに過去と未来の知識を与えて困惑させる。快楽主義者であり信用してはいけない。脳内に情報が入ってくる。なんか物騒なんだけど……こいつを召喚して大丈夫なんだろうか?
『いやいや、そいつはまずいよぉ。君はまだ悪魔を理解していない。そのレベルでは利用されて魂を食われるのが関の山さ。仕方ないから助けてあげよう』
「え?」
その一言共にアモンのカードが燃え尽きて、かわりに何かが俺の手に収まった。そして、口が勝手にその名を叫ぶ。
「ヴラド召喚!!」
ブリュンヒルデの時と同様に手の中のカードがすさまじい光を放ち漆黒の空間がひび割れて砕け散った。
そして、目を開いて見えたのはブリュンヒルデとその傍を飛んでいる蝙蝠だった。
「まったくブリュンヒルデはだめだなぁ、悪魔なんて碌な奴がいないんだ。次の仲間は英雄か……それが抵抗あるならもっと強力な武器や防具でも召喚させた方がいいんだよ」
「ですが……それではあまりに不公平でしょう? それに私がいれば悪魔にだって好き勝手はさせませんよ」
「え……蝙蝠……?」
軽薄な声が聞こえたと思うと、真っ黒な蝙蝠が、ブリュンヒルデの肩に止まる。今のはこいつがしゃべったのか?
「僕の名前はブラド。まあ、僕の事は優しいアドバイザーだとでも思って欲しい。君のその力は君が思っている以上に強力なんだ。本当は影に潜んだままで、君という人間を見極めてから力を貸すか決めようと思ったんだけどねぇ……」
そう言うとブラドという蝙蝠は燃え尽きたアモンのカードを見つめてにやりと笑った。
「あと……悪魔は当たり外れがおおきいからねぇ。僕の様に信頼出来て素敵な存在もいるけど、平気で君を裏切ったり、利用するやつもいるんだぜ。君はかの『魔帝』と同等にすらなれるんだ。もっと慎重に召喚はした方が良いよぉ」
「ブラド……失礼ですよ。マスターは英雄になる存在です。あんな男と一緒にしないでください」
軽薄そうなブラドの言葉をブリュンヒルデがぴしゃりと叱る。この二人の関係はいったい何だろうな? 別に仲が悪いわけではないようだが……
それにしても『魔帝』か……確かに魔王召喚とかもあったしなぁ……とりあえずブラドのステータスを見てみる。
あれ、見れない? なんでだ?
「ああ、僕のステータスは見れないよ。君が召喚したのはあくまで僕の一部に過ぎないからねぇ。僕の事を知りたければそうだな……中層九階の『アンデッドワールド』にでも来てもらおうかな? そこまでくれば多少はつよくなっているでしょ。その時には正式に僕の力を貸そうじゃないか」
「一部だって……これでか……?」
改めて蝙蝠を見るとそれがただの蝙蝠ではないと言う事がわかる。姿かたちこそ蝙蝠だが、目の前のソレは圧倒的な魔力が凝縮されているナニカである。
俺はひょっとしたらすごいものを召喚してしまったのか?
「へぇ、僕の強さはわかるみたいだねぇ……そんな君達に忠告をしておいてあげよう、悪魔が君達を探しているよ」
「なっ……」
「悪魔が……ですか……」
ブラドの言葉に俺だけでなく、ブリュンヒルデも驚愕の声を上げる。悪魔……それは中層よりもはるか深くの深層に国を作っているという魔物達である。当然ながらその強さは、ここにいる魔物とは比べ物にならない。
さっき戦ったサハギンロードですら相手にならないだろう。
「だからさ、ブリュンヒルデちゃん。マスターをちゃーんと導いて、君も強くならないとまずいぜ。ご飯を美味しい美味しいって幸せそうな顔をして食べて、ラブコメをしてデレデレしている場合じゃないんだ」
「なっ、あなたはいつからみていたんですか!! それに私は別にデレデレ何てしてません!!」
顔を真っ赤にしたブリュンヒルデが槍を構えると、蝙蝠は楽しそうに笑って、俺の肩に止まる。それだけですさまじい威圧感を感じるのは気のせいではないだろう。
てか、今きたらブリュンヒルデに攻撃されない?
「ふふ、アレイスター君には僕も期待しているって事さ。じゃあ、僕は中層で待ってるぜ。それまで死なないようにね。あと、この子は君の言う事を聞くから可愛がってくれると嬉しいな」
その一言共に、蝙蝠の中から何かが抜けていくのがわかった。それと共に方から感じていたプレッシャーも消えていく。
「まったく……あの男は変わりませんね……ですが、悪魔ですか……彼が言うのならば本当なのでしょうね」
蝙蝠を睨むように見つめていたブリュンヒルデだったが、大きくため息をついて槍をおさめる。すると蝙蝠が「きゅーきゅー」と鳴いて、彼女の元へと飛んでいった。
結局さっきのやつはなんだったのだろうか?
召喚枠は埋まっているし、レベルも下がっている。イレギュラーは起きたが召喚自体は成功したようだ。
「なあ、さっきのブラドって言うやつは一体なんなんだ? ブリュンヒルデとは知り合いみたいだったけど……」
「はい……前世で戦ったことのある相手ですね。吸血王ヴラド……あなたたちの言う魔王のうちの一人ですよ」
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
俺は予想外の返答に思わず絶叫するのだった。
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レベル10
HP 10(+50) →(+51)
魔力 15(+55) →(+85)
攻撃力 12(+55) →(+60)
素早さ 11(+30) →(+31)
スキル
ブリュンヒルデの加護(召喚者の一部ステータスアップ)
ブリュンヒルデの寵愛 (戦乙女のスキルが使用可能)
ヴラドの加護 (召喚者の一部ステータスアップ及び再生(弱)が使用可能)
ユニークスキル
マイナス召喚
装備
ドドスコ賠償剣
疾風のローブ
カイニスの靴
魔狼の首飾り
サハギンのバックラー
マイナス召喚LV2
召喚枠
仲間 1/2
武具 4/5
アイテム 1/10
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☆☆
「特殊な魔力の反応があったから浅層まで下りてみましたが……まさか本当にあの力を継いだものがいるとは……」
そう呟きながら、興味深そうに燃え尽きているカードを見つめているのはセーレである。まさか、暇つぶしに襲ったサハギンロードを追ってきて、こんなものを見つけることができるとは……
「うふふ、災いの目は早いうちに積んでおくに限りますからな。それにしてもアモンを倒すとは……今回の召喚者は優秀な様ですな。我らの力になればよいのですが……」
そこまで言ってからセーレは凶暴な笑みを浮かべる。
「……まあ、めんどくさくなったら殺しちまえばいいかぁ!! 魔王様も抵抗したから仕方なくっていえば納得してくれるよなぁぁぁ!!」
セーレはにやりと笑い、魔力の探知の範囲を広めることにした。彼の力ならば同じ階層はもちろんの事、一つくらい違う階層ならば見つける。
何者があの力を手に入れたはわからない。だが、次に召喚をした時がそのものの最期となるだろう。セーレは召喚者を捕らえるか殺した後に、魔王様がどうほめてくれるか。それを想い心躍るのだった。
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というわけでついに悪魔にロックオンされたアレイスターくんはどうなるのか?
お楽しみに!!
わかりにくかもしれませんが悪魔の召喚はブラドの横入りによってアモンではなく蝙蝠ちゃんになってしまった感じです。
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