第4話 見捨てた者の末路
タイトルを試験的に変更致しました。
それでは本編をお楽しみください。
★
『マスター、ダンジョン外では護衛をできずに申し訳ありません」
「気にしないでくれ。俺に魔力がもっとあればなぁ……それにブリュンヒルデの加護があるんだ。並大抵の相手なら倒せるから大丈夫だよ」
俺は元のカードと化して、バックにしまわれているブリュンヒルデに返事をする。どうやら彼女を魔力の少ない地上では召喚し続けるには終始魔力を消費するためずっといてもらうことは困難なようだ。。
まあ、それでもカードと化している彼女を持っている事で非常時は召喚できるし、一部ステータスも上がったから問題はないと思う。
「だから本当なんだって!! ミノタウロスが一層に現れたんだよ」
「俺たちが何とか追い払ったんだ。これが証拠の角だ。だから特別褒賞をくれよ。俺たちがいなけりゃ今ごろはダンジョンはパニックになっていたんだぜ」
俺がアイリスを宿屋に預けて冒険者ギルドに入ると聞きなれた声が聞こえる。え? 誰がミノタウロスを倒したって?
「確かにお二人の言う通り、表層に向けてミノタウロスが下りて行ったという目撃情報はあります。それにこれは小さいですが、確かにミノタウロスの角のかけらのようです。ただ、お二人の戦力ではまだミノタウロスの撃退は難しいと思うのですが……」
「それはだな……」
「俺が魔物を罠に案内して、アイリスが魔法でぶっ倒したんですよ。そうだろ、ドドスコ、ギャンガー」
「アレイスターさんご無事だったんですか? ダンジョンでお亡くなりになったと聞いたのですが……」
ギルド職員のセイロンさんとドドスコたちの話に割り込むと、全員がまるで幽霊でも見たような顔でこちらを見つけてきた。
特にドドスコたちはひどい。顔を真っ青にしてしんじられないとばかりに震えてやがる。まあ、確かに穴に落ちて下のほうに降りて行ったのだ。死んだと思ってもおかしくはないが……それよりも気になることがある。
「ええ、何とかアイリスのおかげで無事生還することができました。それで……ドドスコたちがミノタウロスを倒したっていうのはどういうことでしょうか?」
「それは……あれだよ。アイリスの魔法を使わせる時間を稼いだっていうことだよ。でも、そのアイリスは死んじまった。だから俺らが倒したっていうことで問題はないだろう」
「そうだそうだ。万年チュートリアル野郎は何にもしていないんだから黙ってろよな!!」
『……不快ですね。マスター。一瞬魔力をください。こいつらを殺しましょう』
無茶苦茶なドドスコたちの言葉に俺が絶句していると、ブリュンヒルデが代わりに怒ってくれた。こいつらは俺たちが何とかミノタウロスを倒したっていうのに、それを自分たちの手柄にすることに必死で、俺たちの捜索の依頼すらしなかったのか……
正直、こんな話はアイリスが目覚めて説明をすれば解決するのだが……
俺がどうしようと考えているとドドスコがいやらしい笑みを浮かべながら耳打ちをしてくる。
「おい、アレイスター。話を合わせたら報奨金を少しだけわけてやる。お前もどうせ、アイリスを見捨てて帰ってきたんだろ?」
「ふざけるな!! お前らと一緒にするな!! 大体、ドドスコ達はなにもやっていなかっただろうが!!」
「なんだとてめえ、やさしい言葉をかけてやったら調子に乗りやがって!!」
あまりの態度に俺が怒鳴りつけると、ドドスコが顔を真っ赤にして殴りかかってくる。だけど……その動作はあまりにも遅く感じる。
俺が反撃とばかりにカウンター気味にこぶしを腹に放つと面白いくらいにドドスコが吹き飛んで壁に穴が開く。
「そんな腕前でミノタウロスを倒したなんてよく言えたもんだな」
「な……アレイスター……お前いつの間にそんなに強く……」
ギャンガーが震えた声で言うが正直俺も聞きたい。咄嗟に英雄っぽいかっこいいセリフをはいてみたが、ちょっと強くなりすぎじゃない?
俺が自分でも信じられないとばかりに先ほどドドスコをぶん殴った拳を見ていると扉が乱暴に開いて一人の少女がやってきた。
「アレイスター!! アレイスターはいるかしら? よかった無事だったのね……」
「アイリス、起きたのか?」
「げえ、アイリス!?」
「アイリスさん無事だったんですね!!」
アイリスの登場に三者三様の反応をするも、彼女は気にせずまっすぐこちらに駆け寄ってきて……
「よかった……私たち全滅したかと思ったに、目が覚めたら宿で……アレイスターが生きていて本当によかった……」
「うおお!?」
半泣きのまますごい勢いで抱き着いてきたのだ。柔らかい感触と甘い香りがふわっと香る。しかし、思いっきり抱き着かれても微動だにしない自分の体に少し感動していると、ガシャンと何かが割れる音と一瞬……本当に一瞬だがすさまじい殺気を感じた。
今のは……?
殺気の方に視線をやると、一瞬水色の髪が視界に映ったようなきがした。
「申し訳ありませんが……お二人がお熱いのはわかりましたが……細かい事情を教えていただけますか? この二人のお話は参考になりそうにもないので……」
「え? お熱い……? ちょっとアレイスター!! いつまでくっついてるのよ!!」
「それは理不尽じゃねえかな?」
セイロンさんの言葉に正気に戻ったらアイリスが顔を真っ赤にして、俺をつきとばしやがった。
「つまり……アレイスターさんの機転とアイリスさんの魔法でミノタウロスを倒したくせに、二人が穴に落ちたのをいいことに手柄を横取りしようとしたと……」
「それだけじゃないわ。もともとこいつらがミノタウロスを私たちに押し付けようとしたのよ!!」
「いや、それは……」
アイリスの説明によってミノタウロスを倒した英雄扱いどころか、魔物を押し付けたことまでばらされて反論をしようとしたギャンガーだったが彼女にらみつけられて押し黙った。
俺たちの話を聞いていたギルド職員は笑顔でうなづいた。
「なるほど……事情はわかりました。アレイスターさんとアイリスさんありがとうございます。あなたたちの勇気ある行動によって、危機は未然に防がれました。お二人には近いうちに褒賞金が払われると思います。楽しみにしていてくださいね」
「それで……俺たちは……」
おそるおそるといったギャンガーの言葉に、セイロンさんはゴミでも見るような冷たい目で言った。
「あなたたちにはアレイスターさん達への賠償金の支払いと、虚偽の報告をしたことによる罰金。冒険者のランクのはく奪です。ほかの街のギルドにも周知しておきますので、もう冒険者として生きていくことは無理でしょうね」
「そんあぁぁ……あれは仕方がなかったんですよ!! だって、ミノタウロスですよ!! なあ、アレイスター同期だろ……何とか言ってくれよ」
俺にすがるようにギャンガーが涙目で言ってくるが無視である。いや、その同期を散々馬鹿にしていた上に、死んだらこれ幸いとばかりに手柄をとってよく言えるな……
俺が反応しないと思うと、ギャンガーは周りの冒険者たちに声をかける。
「なあ、お前らもひどいと思わないか? 俺たちはそんなにひどいことをしたか!!」
「うるせえ、冒険者の恥さらし!!」
「お前なんかとパーティーなんか誰も組まねえよ!! いつ裏切られるかわかったもんじゃねえからな!!」
俺たちの様子を見ていた冒険者たちからも罵倒が飛ぶ。冒険者たちにとっては信頼が第一だ。それなのい、それを反故したのだ。当然の結果だろう。
呆然とした様子のギャンガーだが、同情の余地はないだろう。
そうして、ギャンガー達の末路を見た俺たちは帰路についていた。しばらく無言だったが彼女はようやく口を開く。
「ねえ、アレイスター。私たちはどうやって中層から抜け出したのかしら?」
「それは……」
『マスター、うかつにしゃべってはいけませんよ』
ブリュンヒルデの警告が脳内に響く。ああそうだよな……わかっているさ。だが、俺が弱かったことはアイリスも知っている。どう誤魔化すか……
そんなことを思っていると、アイリスはちょっと拗ねたような目をしながらもため息をつく。
「まあいいわ……冒険者ですものね。秘密の一つや二つはあるでしょう。助けてくれてありがとう。またギルドであったらよろしくね」
「ああ……お互い災難だったな……また冒険者ギルドで!!」
俺は少し寂しそうな顔をしていたアイリスに手を振って、宿屋に戻る。明日からはやることがたくさんある。せっかく進化したスキルなのだ。いろいろと試さないとな。
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レベル10
HP 10(+30)
魔力 15(+35)
攻撃力 12(+30)
素早さ 11(+15)
ブリュンヒルデの加護(召喚者の一部ステータスアップ)
ユニークスキル
マイナス召喚 LV2
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薬草 消費LV1
犬 消費LV3
さびたけん 消費LV4
スライムパッド消費LV10
悪魔 消費LV10~50
戦乙女 消費LV15
英雄 消費LV10~50
エリクサー 消費LV50
ケルベロス 消費LV60
エクスカリバー消費LV80
賢者の杖 消費LV30
ビキニアーマー消費LV25
魔王 消費LV99
???
???
???
ETC
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