第14話 美沙  家庭教師

 父の友人の弁護士さんの紹介で、私は桜森蒼真くんと言う高校1年生の男の子の家庭教師のアルバイトをすることになった。

私は大学2年だった。

家庭教師のアルバイトは、昨年から女子高生の子も受け持っているし、2人くらいなら大丈夫だろうと思った。

今、1年生なら私が大学生のうちは面倒みることができるな。

弁護士さんの話によると、春に両親を事故で亡くして、今は1つ年上のお兄さんと2人暮しだそうだ。

高校生の男の子が2人だけで?

勉強を教えてもらうのと、出来れば、話し相手になってもらいたい、と言われた。

しっかりした子だけど、心のケアは必要だと思うと弁護士さんは私に言った。

そういうことなら、いわゆるリケジョの私じゃなくて、心理的なことを専攻している大学生の方がいいのでは?

そう思ったけど、私がいろいろと考えても仕方ないし、話してみて気に入らなかったらお断りされたっていいか~と、割りとお気楽に引き受けた。


当日、指定された住所のマンションへ行ってみた。

見るからに高級なマンション。

ここに2人暮し?高校生の男の子が?

芸能人が住んでいるようなところだった。

ロックをあけてもらって10階に上り、部屋の前でまたインターホンを押すと、ドアが開き男性が顔を覗かせた。

わっ!!マジか!!イケメン!!

これは、想像してなかった!!

まさに!どストライクだ!顔が!!

軽く挨拶を交わし家の中に入った。

家の中に入って、リビングルームに案内された。

「狭い部屋より、ここの方がいいかなって」

「あ、はい。どこでも大丈夫です」

立って向き合うと背が高いなぁと思った。

180はありそうだ。

「大っきいんだね」

「は?……あははっ、何が?」

ん?何が?

「オレ、だいたいいつも、初めての相手には

大っきいんだねって言われるから。

まだ、見てもいないのに?って思っちゃった。

あははっ!」

初めての相手……

「あははっ!顔赤くなってるよ~。美沙さん!

かわいい~!!」


4つも下の、高校生にからかわれるとは思わなかった……

初対面でこれとは……

マズイな。

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