第10話 紗友花  あお先生にとって

 あお先生と初めてお話させてもらってから、メッセージのやりとりを続け、携帯の番号を教えてもらった。

都内の素敵なレストランでお食事させてもらったり、車を運転して千葉の私の自宅まで迎えにきてくれてドライブに連れて行ってくれたり。

夢のようだったけど、夢のようでありすぎて、これは現実ではないんだろうと思っていた。

こんなにも、どんどんあお先生のことを好きになっていく自分に、どうにかブレーキをかけている状態だった。


あお先生は、私のことを『好き』なんて、一言も言わないし、歩く時に手を繋いで歩いたけど、それ以外、私に触れてこないし。

あお先生にとって、私ってなんなんだろう。


私の方から、あお先生に告白すればいいのだろうか?

私のことをどう思っているんですか?って聞いてみればいいのだろうか……


怖い……

怖くて聞けない……


『なにを期待してるの?キミは僕の一読者にすぎないよ』

そう言われたら……

もう、あお先生の本を手に取ることもできなくなりそうで、怖かった。


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