第9話 蒼真  小説

 兄の小説を初めて読ませてもらってから、天啓!とでも言うのか、俺も小説を書き始めた。

これは、どう説明したらいいのか自分自身わからない。

何故だか、とにかく、書かねばならない!と思ってしまった。

俺は理系だったし、今まであまり文章を書くと言う勉強をしてこなかった。

いや、理系だから、じゃなくて、まぁ、とにかく小説なんてどう書くのかもわからない。

だけど、無性に書きたくて、ドンドン書いた。

兄に読んでみてもらいたかったけど、こんなド素人の文章は恥ずかしくて見せられなかった。

それでも、自分なりに ちょっとした手応えを感じて小説投稿サイトで発表してみた。


1作目、感想どころか、まず全然読まれない。


2作目、多少読まれるようになった。

感想は、なし。

何がどうダメなのかもわからない。


3作目、初めて恋愛ものを書いてみた。

あんまり、リアルにドロドロしたものは好まれないんじゃないか?と、学園モノで淡い恋愛みたいなものを書いてみた。

これは、割りと読んでもらえた。

初めて、感想ももらえた。


『佐倉あおっぽくて(笑)』

『あお先生のパクり〜乙』


俺は、無意識に兄を真似て書いていたのか?

ショックだった。

俺は、いつも、兄を追いかけて、兄と同じことをして、でも、ただの一度も兄に追いつくことも出来ない……

俺に出来るのは、兄のパクリだけなのか……


違う投稿サイトに変えて、今までとは違うタッチで書いてみることにした。

意識して、兄とは違う、俺の個性を出そうとあがいてみた。

ここでも、3作発表したが、そもそも読まれない。感想もらえない。いいねもらえない。

と、3ない尽くし……


ってか、なんで俺、小説なんて書いてんだっけ?

誰に見せるわけでもないし、誰にも褒められもしないのに。





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