第2話 紗友花  あお先生と

 待ち合わせは、都内の超高級ホテルのラウンジ。

あお先生は、私の顔を覚えていないだろうから、

私があお先生を見つけて、お声を掛けます。

と、言ってあった。

平日の15時。

ラウンジは、あまり人もいなかったから、すぐに見つけられるだろうと思ってキョロキョロしていた。

「田中紗友花さん?」

後ろから声を掛けられ、振り向くと、あお先生がいた。

と、言っても、なんとなく、サイン会の時とは雰囲気が少し違っているような気がした。

あ、あの時は座っていたし、立つとこんなに背が高いんだな~。

「あ、はい! あお先生ですか?はじめまして。田中紗友花です」

「あははっ。厳密には、はじめましてじゃなくて、2回目でしょ?紗友花さん」

「あ、はい。そうですが……よろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしくね。部屋とってあるから行こう」


部屋とってある……って?


えっ?ホテルの部屋?


えっ?えっ?

こんなところまでホイホイ来といてなんだけど、会って話したいって、ホテルの部屋で?


「あ、あの……私、そういうつもりじゃなかったんですが……」

あお先生は、えっ?って顔をして、あははっと笑った。

「変なことは、しないよ!!もしも、なんかされそうになったら、即110番に通報しちゃって!!」

と、ニコッと微笑んだ。


ただ話をするだけでも、有名人とかはホテルの部屋をとるのか!


“ホテルの部屋=いかがわしい行為をするつもり“


って想像してしまった自分が恥ずかしかった。

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