第3話 紗友花  エグゼクティブ?

 普通の客室用ではないエレベーターに乗った。


えっ?何?このフロア!!

エレベーター降りたところから、なんか、もう既にキラキラしてる。


「これって、スイートルームなんですか?」

「ん?あ、いや、エグゼクティブだよ」


エグゼクティブ……とは?

見た感じスイートルームって感じなんですけど……

って、スイートルームに入ったことないから想像上のスイートルームだけど。

まさしく!!これは!!って感じだけど、

「いや、エグゼクティブだよ」

って、わざわざ言い直してるんだから、違うんですね?

ものすごく豪華で広いお部屋ですが……

あとで、エグゼクティブをググろう。


どうぞ~と、ソファに促された。

10人は余裕で座れそうなソファに、2人で座った。


「紗友花さんは、お酒は飲める口ですか?

わっ!!僕としたことが、大事なことお聞きしてなかったな!未成年ではないですよね?」

「あ、はい。22です。お酒は、割と飲める方です」

「よかった」

ホッとしたような顔をして、テーブルの上のタブレット端末みたいな物をタップした。

ドアの前で待機してたの?ってくらいのタイミングで、ルームサービスが運ばれてきた。

シャンパンと、大皿に載ったオードブルがテーブルにセットされ、ものすごく高そうなグラスに、シャンパンを注ぐと、サッと部屋から出て行った。

すべてが未知との遭遇すぎて、何に対して気を向けたらいいのかも わからない。


「紗友花さん、今日はありがとう。乾杯しましょう」

「あ、はい」


こうゆう時の乾杯って、グラスとグラスをカチンとやるのか?やらないのか?

こんな高そうなグラスだし、ちょっと離れてるから、カチンとしないのが正解だよね?

軽くグラスを持ち上げると、あお先生もグラスを持ち上げて微笑んだ。

わっ!尊い……


「ちょっと軽くオードブルをつまみながら、お話ししましょう。

そんな、構えなくて大丈夫ですよ。

僕の今までの作品全部読んで下さってるんですよね?

メッセージのやり取りで、感想聞かせてもらいましたけど、もう少し深くご意見お聞きしたくて」

「ご意見だなんて、とんでもないです。

でも、あお先生の作品を全部読んでるのは、本当です。

あお先生の作品は、本当に大好きです。

先生の作品のジャンルでいうと、恋愛モノと、ヒューマンドラマモノが多いですよね。

その中でも、私的には2パターンあるように感じていて、全体の雰囲気的なものなんですが、陰キャな感じと陽キャな感じとでも言うのか、書き分けていらっしゃるのかなと思うんですが」

「陰キャと陽キャね~。特に書き分けているつもりは、ないんだけど。

ちなみに、作品名で分けてもらってもいいかな?」

「あ、はい。あお先生のデビュー作から5作品、“”冬枯れの景色“”、 “”約束のツバサ“”、

“”思惑“”、 “”はつ恋のキミへ“”、 “”快適な環境なんて……“” は、 私の中では陰キャな感じで、6作目の“”メイクひとつで変われるくらいなら“” が、とても衝撃的だったんですが、タッチが変わったと言うのか、陽キャな感じで、次の7作目の芥川賞を受賞された “”玉響~tamayura~“” は、暗い話なんですけど、完全な陽キャな感じです。その先は、割と順々と言うか」

「へぇ~。そうゆう感じのことを言われたのは初めてかも。

まぁ、僕の場合は、その話の設定によって、文体もかなり違うからな。

女性目線で書いてたりするし。

でも、陽キャな気分で書いてる時と、陰キャな気分で書いてる時があるのかな~?あははっ!

じゃ、今回の新作の、まほろばの朱きドラゴンは、どっちって感じ?」

「完全に陰キャですよ!!」

「えっ?陰キャな気分で書いてないんだけどな~!!だいぶ明るめの気分で書いたファンタジーなんだけどね」

「いえ、あ、はい。明るめのファンタジーで、こうゆうのもいいな~!!って、引き込まれて一気に読みました。

だけど、分類するなら、陰キャの方になりますね」


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