労働条件
落ち着け、落ち着くんだ俺。なに、ちょっと毛の色が変わっただけだ。
そう、深呼吸だ、こんな時はまず呼吸を整えよう。
ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。
確か俺の眷属化スキルはまだレベル一だったはず。ということは眷属ではなくて、何か違うことが原因でフッサが変化した可能性もある。とりあえずステータスの確認だな。
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名前:レイブン・ユークァル
年齢:10
加護:
・死と再生の神による加護…成人するまで運に限定補正、闇系統、光系統の魔法適性に補正、前世の経験を持ち越し
・邪神の恨み…魔物に襲われやすくなる、闇系統の魔法適性に補正
(カッコ内の+がスキル補正で加算されている数値、表示はスキル補正が反映されたもの)
(上昇値は地下遺跡二十三階探索後の時点からスキル補正を除いた値)
生命力:1243/1243(+360) →(506 up)
魔力:2,529/3,202(+880) →(998 up)
力:1,006(+480) →(192 up)
精神:10,614(+1000) →(103 up)
素早さ:1,157(+450) →(395 up)
器用さ:2,086(+930) →(399 up)
運:107(+∞、成人までの限定補正) →(3 up)
スキル:
Up 剣術(Lv6)…剣を用いた攻撃に補正。力に+180。
Up 体術(Lv5)…体捌きに補正。素早さに+150。
武術(Lv10 Max)…武芸全般の習得、実行に補正。生命力、力、素早さ、器用さに+300。
生活魔法(Lv4)…生活魔法が使用可能。
植物魔法(Lv6)…植物魔法が使用可能。魔力、精神に+180。
闇魔法(Lv10 Max)…闇魔法が使用可能。魔力、精神に+300。
邪道魔法(Lv1)…邪道魔法が使用可能。魔力、精神に+100。
光魔法(Lv10 Max)…光魔法が使用可能。魔力、精神に+300。
統治(Lv4)…自領を発展させる行動、部下の人心掌握に補正。精神、器用さに+120。
算術(Lv10 Max)…計算に補正。器用さに+300。
言語(Lv5)…言語習得に補正。器用さに+150。
ちーと(Lv1)…ちーと☆。
Up 眷属化(Lv2)…レベルに応じた人数、自身の眷属にできる、生命力に+60。
▼眷属:ミト・ズゥレ・ソソララソ、フッサ・ンモゥカキ
New 解体(Lv2)…生物の解体作業に補正。器用さに+60。
ユニークスキル:
邪神の魔力…解放時に邪神の力を纏う。魔力を無限に使用可能。
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…なってた。眷属になってたよ。へぇー、フッサの家名、ンモゥカキっていうんだ。それにしてもいつの間に上がったんだ? 眷属化のスキルレベル。そもそも眷属化って何したら上がるんだよ。この先の人生、うっかり眷属にしちゃいました、なんてもう二度と起きてほしくないんだけど。
あとさ、ステータスの値、軒並み上がりすぎじゃね?
運は相変わらず大して変わってないけど、それ以外の数値上がりすぎだろ。地下遺跡での二週間よりも上昇幅が凄い。…いや、力はそうでもないのか。
あれか、腐竜か? それともあの異形のゾンビか? もしやデズラゴスか?
地味に剣術と体術のスキルレベルも上がっているな。あれだけ大量の魔物と戦ったからかな。俺も随分強くなったもんだなぁ。
しかし、いい加減他の人のステータスを見てみたいな。ミトのステータスしか見たことがないから、この数値が一般的にどうなのかってのがいまいちわからん。
素の状態でも地下遺跡の三十階くらいまでは何とかなるから、冒険者の中でもそれなりの実力だとは思うんだけどなぁ。多分搦め手でも使われない限りCランク冒険者に負けることはないんじゃないかな。
最強の十歳児といっても過言ではないだろう。うんうん、最終目標である誰にも負けることない強さには着実に近づいているな。
「レイブンよ、今の光は?」
さて、少しだけ現実逃避をしてみたものの、やっぱり聞いてくるよね。怒らないかな? いきなりあなたは眷属になりました、なんて言って。いや、そもそもフッサが忠誠を誓う、なんていったからこうなったんだし、むしろ望みが叶ったってことで。
とはいえ、眷属化には眷属を強制的に従わせることが出来る、という効果がある。
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眷属化
・使用者の魔力を肉体的、精神的に無防備な状態で受け入れた者を眷属とする。
・眷属は使用者を害する行為が出来なくなる。
・眷属の感情を読み取ることが出来る。
・眷属の位置を把握することが出来る。
・眷属との間で魔力を送りあうことが出来る。
・眷属の感覚を共有することが出来る。
・眷属を強制的に従わせることが出来る。
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雇用主として労働条件はきちんと説明すべきだよな。ブラック企業も真っ青な条件だけど。あなたの場所は常に特定されます。あなたの考えは全てわかります。こちらを害することは出来ません。こちらの命令は絶対です。なんてとんでもない条件だろ。しかも解除方法がありませんってあり得ないよな。
俺が言うのもどうかと思うけど。
「驚かないで、冷静に聞いてほしいんだけどさ」
「うむ」
「フッサは俺の眷属になったみたい」
「む? 眷属」
移動速度を緩めることなく、俺の話を聞くフッサ。念のため振り落とされないように掴まる力を強めていたんだけど大丈夫そうかな。
「そう、俺って【眷属化】ってスキルを持っているんだけど、それの効果で眷属になっちゃったみたい。フッサのステータスでも確認できると思う」
「む…、うむ。そのようだな」
眷属化の能力で感じることの出来るフッサの感情。なんだ、嬉しそうじゃないか。
まぁ、尻尾の揺れ具合で眷属化の能力じゃなくてもわかりそうなもんだけどさ。
「あー、あとは、そうだ。フッサの言う通り、地下遺跡でフッサを助けたのは俺だよ。だけど色々訳アリで俺があの黒鎧ってことは秘密にしてほしいんだ。ミトは知ってるけど」
「うむ。わかった」
「俺の事情は、えーと、その、まぁ後で、後々話すからさ」
流石に邪神云々については今この場では伝えるのは止めておこう。
「レイブン、いや、主殿と呼ばせてもらおう。我に何を望む?」
「えっ? 何を望むって言われてもなぁ…。とりあえずは開拓所へなるべく早く向かってほしいってくらいかな」
「そうか、我の全力を持って主殿を開拓所へ送り届けることを誓おう」
重い、一々重いんだよなぁ。
しかし、その忠誠心とは反対に、軽やかな走りは更に速度を上げ景色を置き去りにしていく。
そして、視界には小さく開拓所の囲いが見えてきた。モクモクと大量の煙が上がっている。建物が燃えているのか?
「凄い臭いだ。魔物避けの香を大量に焚いているな」
まだ距離があるので俺にはわからないが、流石獣人族だ。
「大丈夫?」
「うむ、問題ない。このまま正門へ突っ込むか?」
徐々に近づいてきた開拓所。その門は閉じられている。見たところこちら側には魔物は確認できない。開けてもらうか?
魔物避けを焚いているということは、皆はまだ無事ってことかな?
少しだけ安心したのも束の間。
「む、血と魔物の臭いが濃いな。反対側、森に面している方からだ」
フッサが嗅ぎ分けたこの先の状況。楽観できる状況ではないみたいだ。
「混乱は避けたい、中には入らず回り込むように魔物の方へ」
戦闘中ということであれば、そこに向かうのがいいだろう。俺の気持ちを汲んだのか、フッサの走りは更に速度を増した。
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