昼の御子

「ねぇ、かあさま、昼には神さまはいないの?」

「昼のいるのは御子なのですよ」



それは昼の御子なのだという。


燃えるような髪を持ち、少年のように小柄で、小さな羽で何処までも飛んでいくという。


夜の神がけして追いつけない、命の塊。皆それを「太陽」と呼んだ。


夜の髪を溶かし、鳥たちを目覚めさせ、雨雲の上でも高らかに笑う。


太陽は昼の御子なのだという。



「‥‥いいな。僕、太陽が良かった」

「まぁなんてこと言うの。夜の神さまにお使えするのはとても名誉な事なのよ」

「‥‥」

「それにあなたは、神さまと同じ美しい黒髪。大事にしなければなりませんよ、サーリヤ」






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暗夜錦黒髪奇譚 @soundfish

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