まばゆいみらい

 白く輝くものが欲しい。なんと漠然とした注文だろう。真珠もダイヤも持っているあなただ、これ以上何を望む? 思考する頭を上げれば澄んだ冬空に答えがあった。

 月は大昔から政治家の手垢まみれだからお気に召さないだろう。一つずつ調べてふさわしいものを選び出す。生き物嫌いなあなたのため、清掃ロボットを送って駆除させた。自然が好きなあなただから、それ以上は手を加えなかった。

 あなたが窓際で手招きすると、光が瞬いて応えた――まるで呼び出しの信号を受けた私のように。

「どのくらいかかる?」

「分かりません。ですが確実に」

「それならいい」

 あなたが満足げに微笑する。窓の外には街だった瓦礫が闇に沈んでいる。

「それまでよろしく」




毎月300字小説企画 第3回(2023.3.4)

お題「おくる」

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