第7話
今住んでいるところからそんなに離れていない場所のマンションは流石に候補から削除した.あとは少し離れたところにある高層マンション、将来は花や野菜を育ててゆっくり過ごしたいという澪の希望が叶うだろうと思った都心から離れた畑付きの一軒家.僕の両親から近いところにあるマンション.子供が出来た時に学校や教育施設の整ったところにある住宅街.とまあこれくらい.まさか恵梨香と一緒に考えるだなんて思ってもいなかった.
「どの物件も魅力的だとは思うけど、私はここがいいかな.」
恵梨香が提案してきたのは、高級ブティックなどが立ち並ぶマンションだった.
「休みの日は二人でいろんなところに買い物に行きたいじゃない?それに今度この近くにレストランが出来るみたいなの!」
「そうか.それはいいかもね.」
休日に二人で買い物なんて長らく行ってないな.恵梨香となら楽しくやっていけるかもしれない.僕が描いてたものそのものだ.初めから僕の気持ちの赴くままに両親に伝えるべきだった.僕には大事な人がいると.
今度の休みに見学に行くことを約束して、実家に向かった.
「仁!久しぶりじゃない!会いたかったわ.」
「そんな大袈裟に喜ぶこと?たまには連絡してるじゃないか.」
「親はいつだって、子供と過ごしたいものなのよ.」
大喜びの母親に迎えられてリビングのソファで寛いだ。
「澪さんは?元気にしてるの?」
「あぁ。」
僕といるよりよその男といる方がいいみたいだ.と言うのは父親が帰ってきてからにしよう.今日は父親が家に帰ってくるだろう.スケジュールはある程度把握している.
どんな反応をするだろうか.母親は澪のことを気に入っているからショックを受けるだろう.父親は、分からない.澪と関わりがそこまではない.
「何か悩みごとがあるんでしょ?腕を組んで人差し指をトントンしてる時は大抵何かに困ってる時だもの.」
母親にはお見通しってことか.
「まあ、そんなところ.父さんも一緒に聞いてくれた方がいいと思う.」
「そう.」
優しい笑みを浮かべてただそう答えると、僕が好きなコーヒーを淹れてくれた.
「美味しい・・・.」
人に淹れてもらうコーヒーはこんなに美味しかったのか.最近は自分で淹れるようになっていたから気づかなかった.食事だって僕一人じゃまともに作れない.この前なんか外はいい感じに焼けていたのに中は生肉のまんまだった.調味料の調合なんて難しくて、澪がやってるみたいに真似てみたけどすごくまずいものが出来上がった.もう作ってくれることなんてないだろう.
「お帰りなさい、今日は仁が来てるの.」
「仁が?珍しいな.」
僕の耳に入ってくるのは、普通の夫婦のやり取り.こんな感じでも良かったんだけど.
「息子が帰ってくるくらいたまにはいいだろ?」
「まあな。」
「
いつの間に食卓には父親の好物が並べられていた.
Altalena 瑠璃川新 @Ruri-S
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