第19話 王女様とデート(再び)

 雄一はリリィを車に乗せて最後の東京観光に出かけた。


 リリィの希望もあり、東京タワー、浅草、お台場と観に行くことになり、

雄一もたった3か月であったが、懐かしく感じるのであった。


「雄一、今日は特別に腕を組んであげるのですわ! 光栄に思いなさい!」


 リリィはいつもながらの上流言葉ながらも、別れを惜しむかのように今まで行った観光地を観て回る。


「東京タワーか。初めて連れてきたのがここだったな……」


 雄一はリリィが飛行機を見て驚いたり、地上の車が小さく見えることに大はしゃぎしていたことを懐かしく思った。


 それから浅草に向かうとリリィの要望もあり、お正月ぶりにリリィは着物を着るのであった。


「この国の正装は本当に窮屈ですわ! このデザインは好きですけど」

「減らず口は変わらないな」


 初詣で長蛇の列に並び、リリィが前を開けさせろとうるさく絡んできたのも昨日のことのように雄一は思っていた。


 そして、浅草を堪能した二人はお台場に向かった。


 お台場ではリリィの希望もあり再びガンダムを見た後、遊覧船やゆりかもめに乗ったりし、日が暮れるころに雄一の住むマンションへと戻った。


 一日に三か所もまわり疲れたのか、リリィは車の中で熟睡してしまい起きない。


「ダメだ起きない。仕方ないか……」


 雄一はリリィをお姫様抱っこして、部屋へと向かう。


 家に着くとかおりもクリスもまだ帰宅してなく、雄一は寝ているリリィをベッドで寝かせるために寝室に向かった。


「まったく、手間がかかる女だな……」


 そんなことを言いながらも、雄一にとってはリリィが妹か娘のように感じるのであった。


 しかし、雄一が電気をつけて、玄関からリリィを寝室に運ぶときにリリィが目を覚まし大騒ぎになる。


「このスケベメガネ! わたくしが寝ている間にいやらしいことをしようとしましたわね! 異世界の思い出とかそういう手口には引っかかりませんわよ!」

「ちげぇよ! なんだお前、俺の優しい気持ちを返せ!」


 このあとも二人の言い合いは続き、帰ってきたかおりとクリスが間に入り、ようやく収まるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る