第12話 かおりの勘違い
「最近、外でのデートばかりね。リリィさんが来てから雄一の奴、急に家に呼ばなくなったし、怪しいわ!」
リリィが雄一の家に同居するようになってから急に家に呼ばなくなったことを怪しんだかおりは雄一が仕事で不在の時に家を調べてみることにした。
かおりが合い鍵を使って雄一の家に入ると、リリィがリビングでゲームをしている。
「あら、かおり、雄一ならまだお仕事でしてよ」
「リリィさん、いつもそんな格好しているの?」
ゲームをする前に『姫ちゃんねる』の配信を行ったリリィは今日も彼シャツ配信を行い、そのままの格好でゲームをしていた。
「これは要望に応えてこの格好していますのよ(注:リリィが配信している『姫ちゃんねる』のファンの要望)」
「要望? あなた要望を全部受け入れているの?(注:雄一の要望)」
「そうですわ! 髪型をハーフアップにして欲しいとか、制服姿が見たいとか、要望には極力応じるようにしていますわ! まあ、全てマネーのためですけど(注:リリィが配信している『姫ちゃんねる』のファンの要望)」
かおりがリリィの返答を聞いて、茫然としていると、そこに大司教クリスが帰って来て、仕事の汗を流すためにそのまま風呂場に向かって行く。
「え、あの筋肉質なおじさん誰?」
「あ~あの男は大司教、いえ、雄一のボーイフレンドですわ……」
異世界人であることを隠すように言われているリリィは咄嗟に適当な説明をしてしまう。
「ちょっと待って、雄一はリリィさん以外にもあのオッサンとも関係を持っているの?」
かおりは雄一の浮気を疑い、寝室を開けると寝室のテーブルには何冊ものBL本が並べてあった。(注:寝室は今はリリィの個室と化している。詳しくは本編参照)
「リリィさん、これは誰が買ったもの?」
「雄一ですわ!」
BL本はリリィがあまりにしつこくせがむので雄一がネットで注文してやったものだが、買ってやったのは雄一なので、読者はリリィであるが、一応、リリィの返答に間違いはない……。
「え、理解できないわ! 雄一の好みのタイプが私だとしたら、相手が男性でも若くて綺麗形を選ぶんじゃないの? あんなベテランプロレスラーみたいなオッサンを好むわけがないわ……」
かおりは頭が混乱する。
「かおり、甘いですわ! BLの世界では雄一のようなインテリメガネやクリスのようなマッチョなおじさまへのニーズも結構ありますのよ!」
BL本に詳しいリリィは得意になって説明し、かおりを更に混乱させる……。
「ただいま! あれ、かおり来ていたのか!」
かおりが混乱しているところに雄一が帰宅するが、雄一は帰宅早々、かおりから5,6回往復びんたを喰らう。
「だから、かくかくしかじかなんだって……」
「はあ、あんた中二病なんじゃないの? いくら異世界ブームだからって、そんなので浮気を誤魔化せると思っているの!」
このあと、雄一は4~5時間かかって、かおりをようやく説得するが、リリィはその間もゲームをし続けたのであった……。
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