レオーナ・エル・フォバハイン
「俺、
「フカミショータですか。私はレオーナ・エル・フォバハイン。フォバハイン王国の第四王女です。レオーナとお呼びください」
二人は互いにそう名乗り合い、その上で、レオーナは、
「十六歳とは、私と同じですね。でも、<コウコウイチネンセイ>とは?」
と改めて問い掛けた。これには彰太も、
「あ……え~と、所属……かな……?」
何とか頭をひねって答を絞り出す。人魚だから<高校>みたいなのがなくても当然だと思った。
しかし同時に、水中でこうして会話できていることが気になったのもそうだし、<高校一年生>というのが通じなかったことについても、
『なんだかやけにリアルな夢だなあ』
と思ってしまう。するとレオーナが、
「あら、夢ではありませんよ?」
不思議そうに彼を見た。
『あ、思ったことがそのまま伝わっちゃうのか』
彰太はそう解釈する。けれどレオーナは、
「もしかして慣れてらっしゃらないのですか? 相手に伝えようと思ったこととそうじゃないことはちゃんと区別できるのですが」
少し驚いた様子で告げた。
彼が今の状況を夢だと思っているらしいということについても何か事情があるのだろうと考え、そちらについては敢えて深く詮索はしない。
しないが、彰太の方としては、
「ええ~っ? ど、どうしよう……! どうしたらいい?」
正直、慌ててしまう。しかしすぐに、
『うん、でもまあ、夢だもんな。別にいいか……』
と思い直す。レオーナに『夢ではありませんよ』と言われても、すぐに、『はい、そうですか』とは思えなかった。
確かに漫画やアニメではよくある展開だ。
『死んで異世界に転生する』
など、今さらありふれている。けれど、そんなことが現実に起こりえるとはさすがに思えない。それよりは、海で気を失ってそれで病院のベッドで寝かされていて見ている夢なのだと思った方がずっと説得力があった。
だからここはもう、
「ついうっかり変なこと思っちゃうかもしれないけど、ごめんなさい。先に謝っとく」
とだけ告げておくことにした。
そんな彰太に、
「あなた、面白い方ですね♡」
レオーナがくすくすと
「もしよろしければ私の別荘に来ませんか? さすがにあなたをすぐに王宮には案内できませんけど、私の別荘でしたら大丈夫ですから」
と告げた。さらに兵士達には<自分達の言葉>で、
「彼からいろいろと訊きたい話ができました。なので私の別荘に招待します」
とも。しかしこれにはさすがに兵士達も、
「姫様!? それは危険です!」
「そうです! このような怪しい者を!」
当然のごとく反対したのだった。
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