第33話 木曜日のピョッ

ピョッ ピキュッ ピョッ ピキュッー


活字で見ると、ピカチュウの鳴き声かという音のようだが、この可愛い音は、アヒルの鳴き声。


さっきからずっとバスタブ近くで作業におわれている。

大袈裟に聞こえる作業は、それほど大袈裟でもないのだが、むしろなんで今、これはじめちゃったかなーの作業であった。


バスタブからこんにちは


顔を出したのは、パス用、浮かべるアヒル。

中にはブルーグリーンの浴用ジェルが入っていて、アヒル自体も透明なブルーグリーン。


アヒルの底にある穴の形状は、パッケージに入ったままでは確認できなかった事が敗因となった。

小さなキャップ付き穴は、あけてもジェルがなかなか出てこない。しかもすべて出しきるのは困難だった。


やわらかいアヒルを思いっきり指でへこまして水を吸い上げさせれば、と試みたが、穴が小さすぎてダメだ。


もしかしたらシャワーのひと筋が命中したならば、中に水を入れることができるかもしれない。


その方法はうまくいって、

水を入れる、アヒルを揉む、ふる、ギュッと押して水を出し切る、

これをとにかく何回も繰り返す作業。


音は、そのたびに鳴っている。

いったい、いつまでやればいいのだろう。


アヒルとジェルが同じ色なので、出し切ったのかどうかが非常にわかりにくい。

時々、ブルーグリーンのスライム状の塊が飛び出すので、せめてこれが出なくなるまでは続けよう。


ピョッ ピシュッ ピョッ ピキッ キュー

ピキッキュー


やっぱ、ピカッチューだな。


やれやれ、バスタブに、はなって終了。

コテッて、倒れるなー!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る