食卓には鮎の塩焼きと煮物が並んでいた。

「翼もそろそろ魚の骨を自分で取ってみる?」

 今までは弥生が骨を取ってやっていた。

「うん、やってみる!」

「えらいわ。一緒にやってみましょう。……まずは背骨から取るのよ」

「こうかな?」

「そうそう。次は頭を上げて、骨と身の間に箸を入れて、骨を取っていくわ」

「できたよ!」

「後は食べながら小骨を取っていくといいわ」

「うん、分かった!」

「また一つ成長したわね、えらいわ!」

「えへへ、ありがとう」

「後は、そちらの二人も、もっと綺麗に魚を食べてほしいのだけれど」

 白夜と雨月は、自分の皿の上に乗っている、見るも無残な魚を見て、目を逸らした。

 

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