ep6/空猫ノ絆(前編)
一方で帝都の中心では、止め
爆音の源には、人知を超える激闘を繰り広げる
リゼータは女闘士たちの救出に成功した後、単身で歪蝕竜に戦いを挑んでいた。
遠方に仲間たちの姿が確認できたが、慌てながら何事かを話し合っている。リゼータが独断で戦闘を開始したせいで、戦術が定まっていないのだろう。
むろんリゼータとしては覚悟していた状況であり、仲間たちの準備が出来るまでは、元凶である己が時間を稼ぐつもりだった。
「グギャオ*@ャオ:*オ2オ+オ`@5オオ$%オオ:*オオ#オ"+:オ1オオ1オッ!!」
右眼を斬り潰された事に激怒しているのだろう、その
「来いよヘドロトカゲ。俺を殺してみろ」
不敵な笑みを浮かべるリゼータが立ち向かうのは、
王侯貴族などの裕福層は黄金宮殿に立て
逆に歪蝕竜さえ撃退できれば、
リゼータが軽やかな動きで、歪蝕竜の動きを封じ込める。
飛翔の霊術を展開しながら、絶妙の間合いを維持して張り付くリゼータを、歪蝕竜が
その尾撃をまともに食らえば、簡単にリゼータは即死するだろう。
しかしリゼータは、脅威の集中力で全てを
「グル*ア3オ#オ"56オ)ォ&ォ|80ォ*ォ2ォ@ォ*\6ォ'ォォ!!」
そして尾と
間断なく降り
そして――ついに歪蝕竜が勝負に出る。
リゼータの背に尾を飛ばし、前方からは大口を開けて突進し、
あえなくリゼータは歪蝕竜に飲み込まれた――だが、それは残像だった。
実際は牙が服の端を
危うい瞬間だったが、リゼータは
逆に会心の一撃を
その一瞬の
「グウ#ウ3&ウ4ゥ*ゥ5+ゥ>ゥ<……!?」
しかし
歪蝕竜は
しかしそんな動揺を見て取っても、リゼータは全く油断しない。大きく息を一つだけ吐き、ゆっくりと双剣を構え直したのだった。
そしてここに至り――準備が完了し、ついに空猫ノ絆が連動を開始した。
「受けてみなさい!
リゼータが歪蝕竜の警戒を生み出し、戦局が停滞する瞬間を狙っていたのだろう。
「鬼さんこちら♪ 私にも構ってちょうだい!」
そう言って
アローゼはその扇情的な肉体を空中で踊らせながら、香り立つような色気を振り撒いて歪蝕竜を挑発する。しかしその
「これ以上、リゼ君に負担をかけるわけにはいかないわね……」
超人的な技巧と精神力で立ち向かっているが、今もリゼータが危機的状況なのは変わらない。
この機を逃せば、再び彼と歪蝕竜の一騎打ちとなってしまうだろう。そうさせない為に、アローゼは歪蝕竜の注意を
《戦い狂え精霊よ。滅ぼし尽くせ我が仇。
アローゼは胸上の
アローゼが使役している精霊は、高位であるだけではなく、それぞれが異なる多彩な属性を持っている。そして高位精霊の力を借りるのではなく、思うがままに使役している者など、世界中にも数えるほどしかいない。
それこそがアローゼが、帝都随一の精霊士と呼ばれる
火炎に焼かれ、風刃に切り刻まれ、水弾に貫かれ、巨岩に潰され。
しつこく四精霊から攻撃を受け続けた歪蝕竜が、激高しながら雷弾を撃ち返す。しかしアローゼは風を操り、ひらりとひらりと踊るように身を
歪蝕竜は更に苛立ち、直接アローゼを攻撃しようとするが、背後に
停滞する戦局と消耗していく時間。
それこそが、
こうして戦場の天秤は、徐々に空猫ノ絆に傾いていった――しかし、ここで状況が一変する。
『ズドドドドドドドドドドドドドドドド…………!』
千は優に超えるであろう。膨大な数量の
単機では大した脅威ではないが、大軍となれば話は変わってくる。
数の暴力の前には、どんな実力者であれ対抗するのは困難だ。五対千。戦いの
「いっくぜぇ~っ!
黒き
「
彼女こそが【
小さく未熟な身体に、丸みを帯びた幼い顔付き。一見すると可愛らしい少女に見えるが、その
彼女はかつて、
ラピアはその肉体と心魂が、半分精霊で半分人間――半霊半人といえる。
修行の過程において、ラピアは幾度も肉体と
それにより彼女が信仰する、地と風の神霊の加護を最大限に活かす事が出来るようになり、その上で最凶と名高い暗殺士に徹底的に鍛え上げられた。
誰よりも速く地を
「てめーらを相手にしてる暇はねぇ! あたいはリゼ兄ぃを助けに行くんだ!」
ラピアは狼のごとく
いち速く敵を
『ズシャシャシャシャシャシャッ!』双手両足に風の
その勢いは
援軍がまるで役に立たず、ギリギリと
それからしばらく
“まさか逃亡する気か?”と
「しまった……そういう事か!」
歪蝕竜の
しかし単純な飛行速度では、空を主戦場とする竜の方に一日の長があった。追っ手を充分に引き離した事を確認した歪蝕竜は、ぐるりと旋回し空中に射場を構える。
そして戦場を再び
「ギ4ャア$ア&アアッ!!」「ピギ#ィ6)ィッ!?」「グ#"ゲ90エェ%ェェ4ェ!?」
撃ち下ろされた超電熱が地表を焼き焦がし、
そんな滅びゆく同胞の姿を眺めながら、しかし歪蝕竜の顔には
そして当然、惨劇の只中にいたラピアも無事では済まない――はずだった。
「――させません。仲間は私が守ります」
咲き誇る大輪の氷華が、
その根元ではラピアを護り、虹色の大盾に
彼女こそが【氷壁のジルミード】の二ツ名を持つ、帝都最堅と讃えられる
白銀に輝く美髪。雪のように透き通る白肌。妖精のごとき
「sギ#ャfアア#アgアア#hアjj%ア9p8)ッ!」
歪蝕獣は忌々しそうに
しかしジルミードが構えた大盾が閃光を発し、するりと雷弾を吸収する。続けざまに放たれた風弾も、大盾に吸収されてしまう。
その奇跡とも思える現象は、彼女が得意とする
「甘すぎます。そんな単調な攻撃は通用しませんよ」
若くして
まさに文武両道の天才。ジルミードが持つ膨大な知識と、磨き抜かれた技量の前には、歪蝕竜自慢の
ジルミードの
するとその氷のような無表情が崩れ、今にも泣き出しそうになる。
気を取り直したジルミードは歪蝕竜に向き直り、絶対零度の瞳で
「……許しません。よくもリゼータを危険な目に遭わせてくれましたね。手下を率いて好き放題暴れていたようですが、もう終わりです――
既に心内で詠唱を完成させていたジルミードが、虎の子の霊術を展開する。
するとジルミードの盾が起点となり、瞬く間に氷雪の結界が広がっていった。
歪蝕竜が怒りまかせに雷弾や風弾を乱射するが、その全てを白銀に輝く氷華が打ち消していく。こうして歪蝕竜は遠距離戦の優位を奪われ、ついに
だが、それを選択をすることを、歪蝕竜の
心の底から
その
歪蝕竜は
「待たせたね。やっと詠唱が完了したよ」
ぞくりと。強烈な死の予感に
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈作者コメント〉
どうも。クレボシと申します。
戦闘シーンは書いてて熱くなっちゃう。
応援・感想・評価などをつけて頂けると嬉しいです。
誤字脱字の報告もしていただけると助かります。
※タイトル(ABYSS×BLAZER)はアビスブレイザーと読みます。ブレザーじゃないですよ。
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