占め子の兎 #深夜の二時間作詩 「モノクロ」

【占め子の兎】


 さて、押し開かれて溢れ落ちた話をしましょうか。


 背表紙の一つ一つは呑気にも程がある、手作りのケミカルめくるフェイクであって、その状況を淡々とただ深窓にラグがひかれ処理して幾多のところでした。際どい轍の印象だけの手垢だらけの振る舞いで、差し引き零の光と闇を織り交ぜ 色気に召されたわけでもないけど、共同体のナイフを携え 円転に下る陽炎の皿に音した星の集まり。


 なんだか知らない風景でした。抜け出したかったのかも痴れません。そんな無謀な夢でした。


 充填した蛇足を添付し野に放たれても脱兎のようなヒールも無い。ただ一歩だけ踏み出したようなイカれた空椅子の、過不足だらけの荷重をおまけに、白々しいほど模範画を重ねる。アナタは頭上にまんまる骨柄だけのフォントの人影を、塗り絵のように発色した割引だらけのラベルにモザイクでした。


 ただ目を奪われただけでしたが。汗と涙の結晶ばかりで、立腐れた明白は見るからに欠けて無くなっていた。この色褪せただけのなにか、早朝、珈琲に混じった猫舌は甘ったるいくせに、抜け出せないブランケットは温いだけだ。


 つぶらなサイズに設計されたあんたも私も曼荼羅の、演出だけが意匠の名を刈り、アヤを型抜きしたような、名残ばかりが留められた症状と個性がある。

「コレがすきなのよ」とキミ。


 ――その、『明星。』



 午前11:21 · 2023年1月8日




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