初めての学園
面談をした翌日、学園の門前で立つリベルはとてもワクワクしていた。他の教職員にも紹介するからと、アルフレッドとここで待ち合わせをしていたのだ
道中リベルは制服を褒めてもらおうとカレンの店に寄っていた
例のごとく普段通り来店するリベルに、カレンは案の定制服を褒めてくれた
そのことで既に上機嫌なリベルだったが、実は
学園も楽しみにしていた
セシル達に教えてもらわなければ学園という施設すら知らなかったのだから無理もない
初めての学園という場所への入学——リベルは
内心ワクワクしているのだった
「あ!やぁリベル君、おはよう。中々制服が似合ってるね!それじゃあ行こうか」
『うん!!早く行こ!何をするのか楽しみだよ』
アルフレッドと合流したリベルは周りの視線にも気付かず、まるでスキップでもするかのような軽い足取りで学園の中に入って行った――
———————————
しかしその一方、学園内も新しく入ってくる生徒の話で持ちきりだった
「聞いた?さっき見たことない人が学園の制服を着て、アルフレッド様と二人で歩いてたらしいわよ?」
「聞いた聞いた!しかも、凄いカッコよかったんでしょ!?」
「でも俺が聞いた話だと、昨日代表二人に呼び出されてたらしいぞ?」
「え!なにそれ!?凄い人なんじゃない?Sクラスかな?」
噂は物凄い速さで駆け巡っている
そしてそれは、当然リベルが入ることになっていたSクラスにも届いていた
「みんな聞いたか!?このクラスに凄い生徒が入ってくるらしい。早く戦ってみたいな!!」
「ハァー、相変わらずアンタは野蛮ね。でも、
みんなの噂だとその人凄くカッコいいみたいじゃない。確かに気になるわね」
「途中入学って初めてじゃない?なにか特別なのかしら」
Sクラスの生徒もまた、途中から入ってくるという異例の生徒に興味津々だった
昨日の夕方、寮にいたSクラスのみんなへ事前に連絡が来たのだ
——明日から新しいクラスメイトが一人増える、と。
途中入学というだけでも気になることだが、その生徒はSクラスに入るというものだからみんな余計に気になっていたのだ
話は更に盛り上がっていくが、教室のドアが開かれ担任の先生が入ってきた事により、終わりを迎えた
「あー、全員席に着け。お前らも既に聞いてるだろが、新しい仲間を紹介する」
「「!!」」
立ち話をしていた生徒達が、先生の言葉を聞いた途端大急ぎで席に向かう
そこに先程までのざわめきはなく、教卓まで歩く先生の足音が聞こえるほど静まり返っていた
「えーっと、それじゃあ……リベル君。入って来てくれ」
『失礼しまーす』
先生がドアの方を向き、声をかける
全員の視線が、元気な声で返事をしながら入って来た、制服姿が似合うリベルに注目していた
胸を張って笑顔で先生の横まで歩いていくリベルを、皆が黙って眺めていた
『皆さん初めまして。俺の名前はリベルです。
気軽にリベルって呼んでいいですよ?もちろん、
先生もね』
「そ、そうか?……まぁ途中入学って事でみんな気になっているかもしれないが、その実力はSクラスに申し分ない。これから共に競い合っていくように」
『そうそう。みんな競い合えるように頑張ろーう!』
教室には先生とリベルの声しか響いていない
二人の女子はその容貌に見惚れ、男子からは品定めをするような視線と、リベルを睨みつける視線が放たれていた
「それじゃあリベルも入ったことだし、みんなの力を再確認する意味も兼ねて早速実技演習をする。各自訓練場へ向かうように。リベルには学園内の説明もしたいから、俺と一緒に行こう」
『了解でーす』
その返事を合図に、リベルと先生は教室から出て行った
そして残されたSクラスの生徒達も立ち上がり、リベルに関心を持ちつつも、各々が訓練場へと向かって行った
*****
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます