第48話 感情的な理由はわかった。よくわかった。あたしも本気で心から同感だ
「どうしよっか。とりあえずみんなのステータス見てみる?」
「まあ、そうだな」
フォンシー、ため息吐かないでよ。
「じゃあボクからだね」
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JOB:WARRIOR
LV :17
CON:NORMAL
HP :66+63
VIT:26+38
STR:27+59
AGI:36+13
DEX:39+26
INT:23
WIS:25
MIN:19
LEA:16
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ウォリアーのレベル17だよ。
後衛ステータスがそこそこで、前衛ステータスはすごく伸びたって思う。なにより自慢なのはAGIだ。基礎でも合計でもパーティで一番。しゅばばってして、どかんってやるのは相変わらずってことだね。
「ラルカの強さは速さとスキルですね」
そうそうシエラン。アイテムを使わなきゃなれないジョブはまだ先だけど、そこまでの素手スキルは全部持ってるよ。ウォリアーを取ったのだって、自己バフスキルが多いからだしさ。
「次はパワーウォリアーをやるつもりだよ」
「ほんとにラルカは殴るのが好きだな」
「もちろんだよ、フォンシー」
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JOB:WIZARD
LV :20
CON:NORMAL
HP :60+54
VIT:26
STR:28
AGI:27
DEX:34+38
INT:38+59
WIS:22+16
MIN:12
LEA:14
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フォンシーはウィザードのレベル20だ。まんべんなくいいけど、やっぱりDEXとINTだよねえ。ここのとこ後衛ジョブばっかりだったからVITとかSTRは伸びてない。それでも十分高いんだけどね。
フォンシーのすごいとこは、メイジ、ウィザード、エンチャンター、プリースト全部を持ってるとこだ。硬くて上手い後衛だね。
「フォンシーはやっぱりこのあとビショップにするの?」
「ああ、そうしようかな。相手に状態異常をかけるスキルもあるし、面白そうだ」
悪い笑顔だよ。
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JOB:WIZARD
LV :16
CON:NORMAL
HP :62+44
VIT:25
STR:32
AGI:17
DEX:29+27
INT:28+44
WIS:21+21
MIN:15
LEA:14
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シエランはレベル16のウィザードだ。
STRが高いっていうより、AGIが低いのを気にしてるみたい。それでも先に後衛四ジョブを取って、みんなを助けようってしてくれてるんだ。
「このあとはシーフを取って前衛に戻りたいです」
「やるわね。わたくしも追いつくわ」
「はい」
シエランとミレアでほんわかしてるけど、シエランの目指す先って魔法が使える前衛なんじゃないかなあ。剣でズバズバってさ。ミレアはどっちかっていうと、後衛メインだよね。
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JOB:MAGE
LV :18
CON:NORMAL
HP :49+51
VIT:26
STR:27
AGI:24
DEX:29+31
INT:20+54
WIS:13+46
MIN:15
LEA:17
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ウルはメイジのレベル18だ。もうほんとうにがんばりやさんだよ。
苦手だった基礎INTが20だよ、20。なんか泣けてきたよ。だって最初は6だったんだ。
「この後にエンチャンターまでやるんですね。ぐすっ」
「ああ、立派だ、ずびっ」
「シエラン、フォンシー、泣くな。ウルはもう後衛だってできるんだぞ。エンチャンターをやったら、もっとINTが上がるぞ!」
ああ、フォンシーとシエランが顔を伏せて震えてるよ。それを見たら、逆にボクは素にもどっちゃった。
「はいはい、次はわたくしよ」
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JOB:FIGHTER
LV :18
CON:NORMAL
HP :42+68
VIT:21+25
STR:23+54
AGI:15+22
DEX:19+30
INT:35
WIS:22
MIN:14
LEA:15
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ミレアはファイターでレベル16。
VITとSTR、伸びたねえ。最初は9だったのに。
「湿っぽいのはごめんよ。わたくしは強くなったわ!」
「……うん。本当に強くなった」
そういうザッティこそ、口がモニュモニュしてて目が赤いんだけど。
INTが高くて前衛もそこそこになってきたし、フォンシーと一緒で硬い魔法使いになれそうだよ。
「いよいよ次はハイウィザードよ」
「AGIも上げないとな」
「フォンシー!」
なかよしなかよし。
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JOB:WARRIOR
LV :18
CON:NORMAL
HP :50+67
VIT:30+61
STR:35+57
AGI:21+10
DEX:30+20
INT:8
WIS:9
MIN:16
LEA:14
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最後になったザッティはレベル18のウォリアーだね。
うん、もうはっきりと前衛だ。どう見ても硬い。INTとWISは見なかったことにしよう。
「ザッティの次はもちろんだよね」
「……パワーウォリアーだ。それからシーフでやり直す」
やり直すっていうより、後衛もできるようになる、でしょ?
ザッティが魔法を使うなんて先も先の話だし、プリーストだけ取ればいいんじゃないかな。
◇◇◇
「みんなの希望と、今のステータスはだいたいわかったね」
「ラルカはどう思った?」
「みんなのHPが三桁になってて、すごいなあって思った」
「そうだけど、そうじゃないだろう」
フォンシーが訊いてきたから素直に答えたんじゃないか。すごいことだと思うけどなあ。
「誰をハイパーレベリングするかってことだ」
「ウルでしょ?」
「……なんでそう思った?」
「いやだって、氾濫のときにずっとシーフで戦ってくれてさ、今だって苦手な後衛がんばってるじゃやない」
ねえってみんなをみたら頷いてた。ウルはきょとんってしてる。いや、ホントにウルはがんばってるよ。
「ウルだけじゃなくて、みんなもがんばってるぞ!」
そうだね、ウル。ウルならそう言うよね。
「感情的な理由はわかった。よくわかった。あたしも本気で心から同感だ」
フォンシーって理屈やさんなのに、けっこう感情込めるもんねえ。
「次は理屈だ。
「あ、それならボクかウルじゃない? やっぱりウルでいいんだよ」
「気を失うのとレベリングは関係ないぞ」
わかったから睨まないでよ。
「効率を考えるなら、経験値が重いジョブをなるべく低いレベルで送り出したいわね。フォンシーが言いたいことってそれでしょ?」
「ミレアはわかってくれて助かる」
そーですかー。それくらいボクだって、聞いたらわかるよ。聞いたあとならね。
「でも、わたしたちの現状だと、六日もあったら全員がコンプリートしますよね」
「そこだ、シエラン。今回はその次を狙ってみたい」
「……まさか、次の次のジョブを?」
「間に合えば、な」
次の次ってことは、今のジョブをコンプリートさせて、その次もってこと!? 六日の内に!
「方法はある」
「どんなさ。カースドーさんたちにお願いするとか?」
すぐに思いつくのはそれくらいかな。
「これからメンターになろうっていうのに、頼ってどうする」
「だよねえ」
「思いだせ。今回のレベリングを受けられるのはひとりだけなんだ」
そりゃそうだよ。忘れてなんてないよ。
「五人でひとりを引き上げるのね」
「そうだ」
ミレアが正解なんだあ。だけどみんなコンプリート目前だよ?
みんながそれぞれジョブチェンジしたらまたレベリングのやり直しだし、そこからもっかいコンプリートを六日でなんて……。
「あ!?」
「気が付いたか?」
うん。たぶんこういうことかな。
「ひとりだけジョブチェンジしてもらって、残りの五人はそのままで引っ張る、で合ってる?」
「そうだ」
そうかあ。それならやれるかも。今のボクたちならちょっとレベルを上げれば、30層だって行けるんだ。だれかひとりだけなら、できるかもしれない。
「でもそれって、経験値が」
シエランは不安そうな顔だね。ボクもそう思う。このやり方だと経験値がもったいない、でしょ?
「他の冒険者から聞いたことがあるわ。コンプリートレベルはジョブチェンジする目安でしかないって」
ミレアが変なコトを言いだしたよ。
「へえ、あたしは氾濫のときを思い出しただけだ。あのときのウルはレベル38までいってたよな」
「おう、そうだぞ!」
ウルが誇らしげだけど、あのときは誰をジョブチェンジするかって迷ったもんねえ。
「ラルカとシエランもレベル30台になっていた。けれどその分は基礎ステータスになって帰ってきたな」
「オーバーレベルなんて言うらしいわね。それなんだけど、わたくしはオリヴィヤーニャ様たちの噂を聞いたことがあるの」
「どんなだ?」
ミレアの話にフォンシーが食いついた。オリヴィヤーニャさんが絡むとねえ。
「『一家』のみなさんだけど、ジョブチェンジの目安はレベル70なんですって」
「なっ!?」
ななじゅう!?
「基礎ステータスの加算……、同じジョブには二度となれない……。氾濫だからしかたなかったあたしたちとは大違いだ。まったく、面白いな」
「コンプリートレベルを超えたところで、少しだけなら基礎ステータスに返ってくる。それを突き詰めるわけね」
「それは簡単にレベリングができるからだろう? けど、今回の理由にはなる。いや、言い訳かな」
「いいんじゃないかしら。わたくしは賛成よ」
うんうん、フォンシーとミレアがわかり合ってるよ。
ボクもわかった。将来ボクらがすごく強くなったときにやることを、今回ちょっとだけ試すんでしょ? それを言い訳にして誰かを一気にコンプリートさせる。そんなお話だ。
「よくわからないけど、ウルはやるぞ!」
そんなウルをみんなが見てた。
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