第4話 成長

「出来た……出来たぞ!!」


「おおー!すごいすごい!初めてでこれだけ出来るのはすごいよ!!」


 初めて魔法を使うことが出来た!まだまだ師匠の見せてくれた『ファイアアロー』と比べたらお粗末なものだとは思うが、俺が初めて魔法を使えたんだ!これほどうれしいことはない!よし、もっともっと練習して強くなるぞ!!


「じゃあ次はお勉強だね!」


 ……え?


「え?お勉……強?」


「うん、そうだよ?スイは全属性使えるんだし、学ぶことはたくさんあるんだから!応用編の勉強、しなきゃね!」


「勉……強……あぁ、いや、いやだぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「あはははは!!ボクと一緒に頑張ろうね?」


 またこれから勉強をしなければならないという事実に絶望する俺。全属性適正がまさかこんなところで牙をむくとは思いもしなかった。しかし、師匠の、アスタの言葉に放心してしまう。なぜって?そりゃ可愛かったからです。


「あ……はい。」


「あははは!!なに?照れちゃった?」


 くっ……!かわいい……!いや、アスタは男のはずだ!ええい、早く魔法の練習をするぞ!


「早く魔法について教えてくれ!師匠!」


「わかったよ!じゃあまずは魔法の属性からだね。えーっとね~」


 再び魔法の座学が始まった。前回のは魔法を発動するための基礎で、今回から学ぶのは魔法をどう使っていくかなどの応用に関するものらしい。

 まずは魔法の属性について。前回の座学でチラッと教わった四属性。基本属性と言ったりもするらしい。その火・水・風・土の四属性から派生したのが派生属性、または希少属性の4つ、氷・雷・植物・金属魔法だ。そして特殊属性の念力・爆破・付与・神聖魔法。さらにはるか昔に存在したと言われており、今現在使える者は片手で数えるくらいしかいない古代属性、空間・時間魔法。この計14個の属性に極稀に生まれるその個人しか扱うことのできない固有魔法、魔法の属性を扱わない無職の魔素を操って発動する無魔法の16種類が存在するとのこと。俺の全属性適正は固有魔法を除く全ての魔法を扱うことが出来るというもの。しかし、発動にはその魔法が希少になるにつれ膨大な魔力量が必要になるため使えるかどうかはまた別になるらしい。


「ひえー、いろいろ覚えんといけんのかー。暗記は苦手なんだけどな……」


「そう、そこなんだよ!ボクたちみたいにたくさんの魔法に適正があるならもちろん、一つや二つしか使えない人たちでも詠唱は面倒くさい!そんなときに使えるのがこれ!てっててー、詠唱破棄ー!これはその名の通り詠唱をせずに魔法を発動する裏技みたいなものだよ!この技を使うためにはちょっとしたコツがいるし、最初は結局普通に発動させる必要があるから今はとりあえず忘れて。じゃ、どんどん行こうか!」


 俺は来る日も来る日も基本属性の魔法を撃ち続けた。魔法自体にも階級みたいなものがあって使える人が少ない魔法ほど威力なんかが高くなる。しかし、魔法の中でも下位魔法・中位魔法・上位魔法・最上位魔法ってわけられており、今現在の俺は上位魔法まで使うことが出来るようになっていた。そこまで成長した俺はアスタ師匠の下へと赴いた。


「アスタ師匠!俺に、魔物討伐へ行かせてくれ!」


「ん?魔物の討伐?あー、おっけー。全然いいよ。」


 そんなこんなで……いや、あっさりと魔物討伐の了承が得られた。なぜ今突然魔物討伐へ行こうと思ったかというと、俺自身の能力にあった。俺自身の能力、ここまで逃げてくるときに分かった能力だが、敵と戦っているときに自分のステータスが上がる。この能力が実際正しいのかどうかすらわからないが、逃げているときにステータスが上がったのは事実なのだ。これの検証とレベル上げのために魔物討伐へ行こうというのだ。


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名前:夜桜 翠 レベル:10

スキル:【肉体回復Ⅱ】【対物強化Ⅱ】【魔力感知Ⅲ】【魔力操作Ⅲ】【魔力回復Ⅱ】

HP:200/200 MP:400/420

STR:32 VIT:23 AGI:52

INT:80 MIN:60 DEX:70

称号:【異世界からの来訪者】


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 これが今の俺のステータスだ。朝ちょっと魔法使ったからMPが減っているが、最近新しくゲットしたスキルの【魔力回復】ですぐに元通りになる量だろう。レベルが10になったとき、魔物を倒さないとこれ以上は上がらないと言われたのも魔物討伐へ行く理由の一つだ。


「じゃ、行ってきます。アスタ師匠!」


「はいは~い、いってらっしゃい。」


 俺は師匠の張った結界を出て魔物を探す。これには【魔力感知】のスキルを使用する。【魔力感知】は自身が魔法を使うのに必要なスキルであると同時に、周囲の魔力のこもった生物を探すことも出来る。


「え~っと、やっぱ最初に倒すならリベンジだろ!さあどこにいるんだ……?」


 俺はこの森に入って最初に出会った魔物を探し始めた。そして探し始めてから10分後、その魔物と相対したのである。


「よぉ、久しぶりだな。って言ってもわかんねぇよな。アスタ師匠が殺したんだから違う個体だし。まあいいや。俺の実力を試させてくれよ、緑竜グリーンドラゴン!」

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