第3話 魔法

「お願いします!アスタ!いや、アスタ師匠!俺に魔法を教えてください!」


 名前を教えあったあと、俺はすぐにアスタに魔法を教えてもらえるように頼んだ。いや、しょうがないと思う。魔法って男の、いや、人類のロマンだと思うから。使ってみたいじゃん?ということでダメ元で頼んでみた。


「いいよー。じゃあ教えてる間はボクを師匠と呼ぶことと、ボクの家に住むことね!」


「そうだよな、まあもちろんわかってたよ。断られるって……ん?いいよって言った?」


「うん、どうしたの?残念だけど条件が飲めないならちょっと……」


「いや!もちろん出来る!その条件!アスタ……じゃなくて師匠!」


 やった!これで俺も魔法が使える!よし!よし!よし!


 そして俺はここで魔法の練習に励むのであった。


♢♢♢♢♢♢


「まずは魔力を感じること、これが出来ないと魔法は使えないからね!」


 アスタ師匠による魔法講座が始まった。今は練習をしているが、この前に魔法という物についての説明を受けた。

 魔法というのは魔力を使って引き起こす超常現象のことらしい。そして魔力というのは全ての生物に宿っているもので、これを感じることが出来るのは全体の100分の1くらいらしい。そして魔力は自然にある魔力になる前の魔素というものと体の中にある魔力という二つに分類することが出来、魔素を集めて魔力に属性という名の色を付けてあげたものを集めた魔素の中に入れると魔法になるらしい。これが出来るのはもっと少なくなくなる。召喚前は勉強が苦手だった俺だが、なんとか頑張った。そして座学の後は実技ということだ。


「どう?わかる?魔力。」


『レベルが上がりました。ステータスが上昇しました。』

『今までの行動を参照……スキルを獲得します。スキル【魔力感知Ⅰ】を取得。』


 レベルが上がったと同時にスキルを獲得した。これのおかげだとは思うが先ほどまでとは違う、謎の力を感じた。これが魔力ってやつか!


「なんとなくではあるが、わかってきたぞ!」


「え、ええ??わかっちゃった?マジで?」


「?? ああ、わかったぞ。まだこれかなってくらいだが。」


 えーと……なにかおかしかったのか?どこが?うーん……わかんない……


「いやいや、これって本来結構時間をかけて出来るようになるものだからね?」


 ええー、そうなのか?基準がわからないからどうともいえないが……まあすぐに魔力の感知が出来たことで次のステップにすぐ入れるからよかったよかった。


「はぁー……まあいいよ。次、行こうか。」


「はい!師匠!」


 ステップ2!感じた魔力を動かしてみよう、だ!魔力を動かせないと魔法を使うことはできない。コツ……みたいなのはあるんだろうか……いや、まずやってみないことには始まらないよな。


「ぐぬぬぬぬぬ……っはぁ。出来ねぇー!!」


「アハハ、そりゃそうだよ。人間だと大体最短でも2か月くらいかかるんじゃないかな?」


「そうかー、まあ気長にやってこうかな。」


 それから2時間ほどが経過した。


『レベルが上がりました。ステータスが上昇しました。』

『今までの行動を参照……スキルを獲得します。スキル【魔力操作Ⅰ】を取得。』


 またレベル上がった!そして新しく手に入れたスキルは【魔力操作】?これって……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スキル:【魔力操作I】

効果:魔力を操ることが出来るようになる。ただし、魔力の感知は出来ない。


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 ついでに【魔力感知】もどん。


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スキル:【魔力感知I】

効果:魔力を感知することが出来るようになる。ただし、魔力を操ることは出来ない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おお……おお!!これがあれば!


「ふんぬー!!」


「おーいスイ?そろそろ休憩したらどうだい?もうかれこれ2時間くらいぶっ続けでやってるけど。」


「おおー!!!出来た!出来たぞ!!!」


「ええ!?出来たの?出来ちゃったの?ちょっと見せてみて!」


「ほら!出来てるだろ?」


 俺は練習の成果を見せてやる。まだまだぎこちないが、魔力を動かせるようになった。これでまた一歩前進だな!


「ほえ~ホントに出来てるよ。才能あるね、スイ。もしかして人間じゃなかったり?」


「いや、人間だと思うけどな……まあちょっと事情ありではあるけど。」


「ふぅ~ん、まあいいや。とりあえず休憩しようよ!疲れたでしょ?」


「そうだな~、疲れたよ。わかった、いこっか。」


 俺は師匠に連れられて師匠の家へ行き、晩御飯を食べた。近くにあった池で釣ったであろう魚を食べたのだが、地球で食べたどの魚よりも美味しかった。なにか特別なことでもしたのかと聞いてみたが、特にそんなことはしていないのだという。


「ああ、それはここの池、というかこの森にいる全ての生物は魔物だからね。魔物は普通に人間たちの食べる生き物よりも魔力が強くてその影響を受けてうま味とかが増すんだよ。」


 すげぇー。魔力ってやばくね?そんな便利なもんなの?予想以上だわ……これこそファンタジー!!!


「ごちそうさまでした!」


「はい、お粗末さまでした。」


 流石に晩飯作って貰っておいてなにもしないってのは日本人として、というか人として?気が引けてしまったのでお皿などを片すのを手伝い、再び寝るまでの時間魔法の練習へと入った。


「じゃあ魔力の操作も出来るようになったみたいだし、最終ステップに移ろうか!」


「わかりました!師匠!」


 次のステップが最終ステップだそうだ。最後のステップは実際に魔法を発動してみよう!だ。来た!来た!来たー!!やっとこさ魔法の発動が可能なとこまで来たぞ!!


「はい、ちょっとここ座って。」


「どうかしたんですか?わかりましたけど……」


 俺は師匠の言う通りその場に座った。すると師匠は俺の背中に手を当てた。うーん……背中がムズムズする……不思議な感覚。


「ほうほう……中々珍しいねぇ……全属性適正だね。いい魔法士になるかもね?」


 どうやら、俺の魔法の適正を調べていたらしい。そして俺の魔法の適正は全てにあるそうだ。やったぁ!!俺の魔法を使って戦うという夢がすぐ手に届くところまで来た!!


「よし、じゃあまずは基本的な四属性の魔法、火・水・風・土のうち、比較的に危なくない水の魔法を使ってみよう。」


「はい!」


「じゃあ魔力に水の属性をつけるところから。こうやって~」


 そんな風にまずは水属性の魔力を集めてから魔素を自分の目の前に集めた。魔素も魔力を操るのとほとんど同じ感覚で出来た。そして最後は魔力と魔素を合わせる!一番難しいのはここだ。ここを適当にやると魔法の暴発が起こる。ここをこうやってこうして……こう!これだけだと水属性の魔素が出来上がっただけだ。これを魔法へと昇華させる!


「師匠に教わったやつを……《我が体に宿る魔力よ、水の球となりて敵を穿て!》『ウォーターボール』!」


 俺の目の前に集まった魔素は水となり、球を形成した。そして前へと飛んで池にポチャッと落ちた。


「出来た……出来たぞ!!!」

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