第11話 知らなかった人を知ってた人
日曜日に舞香ちゃん(たち)と遊びに行けることになった。素直に嬉しい。嬉しいけどちょっと不安でもある。クラスが違うから話す機会もそんなにないし、LINEも教えてもらったばっかりだから頻繁に連絡するわけでもないし、好きな漫画が同じってことはわかったけど、それ以外のコミュニケーションはしてないしちゃんと話せるか自信がなくて。
嫌われたくない。
つまんない奴だと思われても嫌だ。そうしたら話さない方がいいのかもしれない。実は最近、テレビをよく見るようにしてる。芸人のツッコミワードとか、話のネタとかを真似して少しでも笑いのネタにできたらいいなーとか思って。でも、僕なんかと話してて楽しいかなぁ‥本読んでるって言ってたし、そっちの方が100倍楽しいだろうから‥。でも、そうしたらずっと仲良くなれない。
吉田と本田は付き合ったみたいだから、僕のことどころじゃないだろーし、てか多分本田は(舞香ちゃんを好きなこと)知らないだろうし‥。あ、2人が付き合ってることはまだ言ってないんだっけか。誰にも相談できない。でも自分で解決できるほど力もない。どうしたらいいんだよぉぉぉ。
「うぃ!神庭、まじで助かったわ!」
「なんだ、和か」
「なんだとはなんだ!俺達の仲じゃないかぁ〜」
「やめろっ!!!」
昨日本を売りに行ってから、ついでに和ん家に寄って約束通りお金を貸した。
「てかさ、お前昼休みどこいんの?」
「うえっ!?あ、いやぁ〜、さ、散歩?かな」
「はぁあー?散歩なんてしてどうすんだよ」
「あっ、おっ、、、と。図書室。うん、図書室に行ってるんだ、うん。」
「‥嘘だろ(^ω^)」
「んだよ、その顔は」
「お前、誤魔化しかた下手くそなんだよなぁー!俺みたいな奴にバレるくらいだから、他のやつにもバレるぞ!」
「どぅえぇっっ!!?!?そ、そ、そ、ソンナ、ヘタカナァ!?」
「うん。あ、もしかして‥」
「っう‥」
「すぅーきぃーなぁ〜?」
「できてない!!!!!!!」
「はい!!!できたやつの拒否りかただ!!!」
「ぐぅわっ」
「だれだれだれだれ!!!!」
「バカにされるから桜野さんなんて言わないよ!!!」
「バカにしないから教え‥って、へ?」
「ぐぅぅぅわっぁぁっ!!!」
「桜野って、桜野舞香?」
「え!?和、しってんの?」
「知ってるも何も親戚だよ」
「うそぉぉぉぉーーーーん!?」
「うん。舞香はちっちゃいときから‥」
「よびっ!!!!すてっ!!!!!!」
どうやら和のお父さんのお兄さんの‥と、どんな間柄かわかんないけど、とにかく親戚らしい。幼稚園のときから知ってるみたいで、和くん、舞香と呼び合う関係だとか。そこを変われ。
舞香ちゃんがアニメ好きになったのは、和がしょっちゅう漫画を読んでいたから、それに影響されてらしい。舞香ちゃんの好みとか人となりをこっそり知れるチャンスかもしれない?と思って意識していることを話した。
「好きなの?違うの?」
「すぅきぃー‥と、いうか、気になってる?だけみたいな、でもしょっちゅう考えてるけど‥」
‥自分の気持ちなのに、よくわらからない。好きになるってなんだろう。
話したいって思うこと?
手を繋ぎたいって思うこと?
相手のことを想うこと?
この気持ちは家に持ち帰ることにした。ご飯を食べて、お風呂に入って、好きな漫画を読んで、テレビを見て、電気を消して布団に入る。お風呂に入ったから?いやいや、もう時間経ってるし。漫画を読んでテンション上がったから?いやいや、そういう内容じゃないし。スマホをいじってて目が冴えてるから?いやいや、眠いは眠たい。
体育の授業の後みたいに、心臓がバクバクしていた。デート‥、デートって言っていいのかな。今日は金曜日。いよいよすぐそこまでせまっている。恥ずかしさとか、自分なんか‥って気持ちは一回その辺に置いといて、舞香ちゃんにどう思っているかしっかり考えてみた。
漫画の話をしているときも楽しい。遊びに行くこともすごく楽しみ。もっと仲良くなりたいと思ってる。考えていると心がフワッとしてる変な感じがする。そうだな、そうなんだよな。
僕は舞香ちゃんが好きだ。2人でデートに行きたい。付き合いたい。
僕は僕なんだ。好きなことをたくさんしたいし、好きなことを喋りたいし、‥好きな人と一緒にいたい。目にギュッと力を入れて、小さな気合を入れてみた。
「‥日曜、チャンスがあったら言ってみよう‥かな」
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