登場人物紹介 ~サブキャラ編2~

■魔王

 大昔迫害を受けて異世界へと旅立った一族の子孫。迫害を受けて過酷な環境へと追いやられたことに激しい怒りと憤りを抱いており、復讐をするために軍勢を率いてこの世界へとやって来た。魔法の力で人々を蹂躙し各地に侵攻を広げていくが、勇者の登場により状況は一変する。

 今までの勝利が嘘だったかのように敗戦を重ね、追い詰められた魔王は残った仲間たちと共にシゼへと逃げ込むが、勇者によって敢えなく討ち取られる。

 その死は勇者たちによって隠蔽され、数々の悪事の隠れ蓑として利用されることになる。

★裏話

 本編の開始時点ですでに死んでいる可哀想な人。強力な魔法の力と統率力で次々と各地を侵略していきましたが、勇者一行には敵わずあっさりと敗れました。しかし勇者の方が強い。裏切った魔族によって情報や弱点を知られたことも敗れた理由の一つです。

 存在を匂わせつつ、魔王と勇者の関係を探っていくというミステリー要素も入れてみました。


■トム

 年の離れたアレンの弟。三兄弟の末っ子で家族からとても可愛がられている。勇者に憧れており、勇者一行が村に来るのを楽しみにしていた。しかし勇者一行が村に訪れたその晩勇者が姉を攫う場面に遭遇してしまう。姉を助けるべく勇者に立ち向かうが、気を失わされてしまう。口封じのために村に火を放たれ焼け死ぬ寸前のところを戻ってきたアレンに助けられる。

 重度の火傷を負い長い間意識を失っていたが、今際の際に姉が勇者に攫われたことをアレンに伝える。さらに意識を失う前に魔女が村に火を放つところも目撃しており、それが勇者一行の悪行の証拠となった。

 アレンたちに真相を伝えた後、勇者に攫われた姉を助けるように頼んで息を引き取った。

★裏話

 主人公の弟。登場してすぐに気がかりな言葉を残して意識を失うのですが、そのまま二年近く更新停止してしまい危うく永遠に目を覚まさないところでした。

 彼の証言によって勇者一行の蛮行が判明しエトンが仲間になるきっかけとなりました。そんな重要な役どころに反して名前は適当です。「弟の名前どーしよ。うーん……いいやトムで」と何となくトムになりました。


■アニー

 年の近いアレンの妹。村でも評判の美人だったが、それが災いして勇者に目を付けられることとなる。

 ティサナ村からシゼへと連れて行かれた際にミーナやマーガレットと出会い、互いに励まし合いながら過ごしていた。

 ある時魔族がマーガレットを"研究材料"として選ぶが、マーガレットは恐怖のあまり泣きじゃくってしまう。それを見かねて自ら身代わりを買って出た結果、魔族に惨殺されてしまう。その凄惨さは遺体を見たエトンが思わず吐いてしまう程。妹の無残な亡骸を見たアレンは泣き叫び、勇者に対する怒りと憎しみをより一層深めた。

 連れ去られた時は意識を失っていたため、故郷に火が放たれたことは知らないままこの世を去った。

★裏話

 主人公の妹ながら作中で最も惨い死に方をしたキャラクター。次点はジャンヌ。

 魔族は人の怒りや苦しみといった負の感情をエネルギーに変える研究を行っており、そのために数多くの人間を痛めつけてきました。腕輪は研究の副産物で大量の負のエネルギーが込められており、魔法を消し去る力を持っています。魔族は負の感情をより多く引き出すためにアニーをいたぶって殺害し、その結果呪いの腕輪が完成しました。

 名前はミュージカル『アニー』から。妹だけどアニー。アレンの赤毛もそこからきています。


■ジョンとマリー

 アレンの両親。父がジョンで母がマリー。ティサナ村で生まれ育った幼馴染同士。アレン、アニー、トムの三人の子供に恵まれ故郷の村で穏やかに暮らしていたが、勇者一行が起こした火災によって焼死する。

★裏話

 主人公の両親。トムやアニーと違って第一話で完全に退場するため、影が薄いです。村が壊滅して主人公だけ生き残るというシチュエーションは『テイルズオブファンタジア』の影響を受けています。

 名前はトムと同じく思い付きです。適当に付けた上に一話でしか出てこないので、作者自身全く覚えていませんでした。


■ムラトハザル

 遥か昔に存在した魔法使い。魔法の原理原則をまとめ上げて誰もが魔法を使えるようにした功績から「大賢者」と称えられ、魔法の始祖として知られている。後に自らその功績の全てを破却し、魔法を封印した。

★裏話

 昔いたすごい人。「魔法の設定どうしようかな~」と考えた末に魔法の始祖という設定に落ち着きました。この世界での魔法は現実世界の科学技術のようなものです。

 名前はムラト川とハザル湖という実在する川と湖の名前から。何故そこから取ったのかというのにも理由はありますが、それはまたの機会に。


■ロビン

 ベシスの兵士。同期のマルコが勇者を騙すための生贄として殺されることを知り、自らその役目を買って出る。

 身代わり策の"元凶"であるアレンに食ってかかるが、話し合いの末に納得して身代わりになることを了承する。これが自らの役目だと自分に言い聞かせて覚悟を決めたつもりだったが、死の恐怖に耐え切れずに泣き喚いた末に首を刎ねられた。

 騎士団内で彼の名は勇者を討つために命を捧げた英雄として語られている。

■マルコ

 同じくベシスの兵士。魔女に騙されて捕らえていた剣士を取り逃がし、それを挽回すべく任務に当たっている。髪の色と背格好が似ているためにアレンの身代わりに選ばれたが、ロビンが身代わりの身代わりを買って出たため命拾いする。

 その責任を感じ、ロビンの処刑に最後まで立ち会った。

 戦いが終わった後は犠牲となった友の想いを胸に、さらに任務に励んでいる。

★裏話

 出番は少ないながらも重要な役割の二人。目的のために他者の生命を犠牲にすることで、アレンたちの行いが必ずしも正しいわけではないということを表しています。

 名前は俳優のロビン・ウィリアムズから。書いてる時にテレビでロビン・ウィリアムズのドキュメンタリーをやってたので付けました。マルコは特に意味はないです。


■アーサー・マルセル・ハンソン

 ベシスの処刑人。処刑人の家に生まれ、一族代々この職に就いている。処刑人という汚れ仕事を請け負う代わりに王から特別な地位と給金を保証されているが、その嫉妬と恐怖と相まって民衆からは忌み嫌われている。誰からも感謝されることもなくただ命を奪う日々に嫌気が差しているが、これが自らの役目だと自分に言い聞かせて生きている。

 直接的に勇者を討ち取った張本人だが、正体は伏せられていたため彼がその事実を知ることはなかった。

★裏話

 最初は勇者の首を刎ねた英雄として民衆から喝采を浴びるというラストでしたが、「姿が変わったら誰も勇者とは信じないだろうなー」と思って変えました。おかげで全体的に陰鬱なお話となりました。

 モデルはシャルル・アンリ・サンソンで、裁判の件もサンソンのエピソードの丸パクリです。ハンソンもサンソンのもじりです。

 名前は漫画『首切り朝』から。江戸時代の処刑執行人である山田朝右衛門が主人公の漫画です。タイトルもそこから取っています。マルセルは何となくです。

 ちなみにアーサーと朝がかけてありますが、だからどーだこーだ言うわけではありません。


■エトンの師匠

 ソノ村に住む老人。昔は高名な武術家だったが、村人は誰も信じていない。

 復讐のために「武術を教えて欲しい」と頼むエトンを追い返そうとしたが、事情を知りやむなく弟子入りを許可する。

 戦いが終わった後、エトンはアレンを連れて老人の下を訪れている。

★裏話

 当初はエトンの前日譚を書く予定はなかったのですが、メインキャラで一人だけプロローグがないのもアレなので急遽書くことにしました。エトン自体が急遽生まれたキャラなので、背景が固まらずに苦労しました。

 ちなみにフランツがこの世界で最初に出会ったのもこの老人です。


■謎の少女

 勇者とフランツの姿を変え、この世界へと送り込んだ張本人。その正体は謎に包まれている。

★裏話

 勇者とフランツのプロローグにちょろっとだけ出てくる人。「一体、誰なんだ?」という消化不良な点はありますが、その謎は次回作で明らかになるでしょう。

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