第3話 火の精霊

北西の方角に、学園の横を海岸沿いに進むと、赤く光る火山が見える。それこそがブレイジング火山だ。そこには、ファイストという精霊が大昔から住んでいる。歴代で契約した人は1人しかいないという。なにか理由があるのだろうか。


ブレイジング火山の頂上に着いた。火山の中には、小さな浮島と、周りを囲うようにしてマグマが流れていた。すると後ろから...

ガルルルルル...

そこには、炎に包まれた大きな虎がこちらを見てる。

「みんな中に飛べ!!」

ロイの一言ではっとした。私たちは中にある浮島に飛び乗った。すると、虎も一緒に浮島に飛び乗り、私たちの前に来た。

「お主ら、ここへ何しに来た?」

とっ...虎が喋った...

するとロイが前に出て、

「俺はロイ・シュライザー。ファイストと契約を結びたい。ここにファイストはいるか?」

「...妾こそがファイスト。ほほう、契約か...ならば、妾を倒してみよ。話はそれからじゃ。」

これが、契約する時の条件か。

突然、周りのマグマが燃えだした。これはファイストの能力か。すると、ロイの氷の魔法で私、トワ、コウスの3人を火山の頂上に上げられた。恐らく、危ないのでそこで見てろという、ロイなりの気遣いだろう。

「ロイ!頑張れ!」

すると、ロイは後ろ姿で、無言で片手を上げた。その背中は昔とは違い、とてもたくましく、かっこよかった。


ロイとファイストのバトルが幕を開けた。

するといきなり、ロイが仕掛けた。

「―大地よ凍れ フロスト―」

ロイがかかとを鳴らすと、一瞬で周りの炎も、マグマも、空気までもが凍てついた。これで、相手の炎は最小限にした。だけど、ファイストも負けずと炎を操って、噛み付いたり引っ掻いたりしている。だが、ロイには全然当たってない。ロイは冷静に一瞬の隙を突いて手をかざし、

「―貫け セリオン―」

ファイストに氷柱が落ちた。

グアァァァァァ!!...

悲鳴とともに、ファイストの体が小さくなってった...すると、そこには、虎の耳がついている少女が現れた。髪は赤毛のゆるふわボブで、ドレスみたいな着物を着ている。

「もおぉぉぉ!!なんてことしてくれてんのよ!!痛かったんだけど!!」

その少女はプンスカ怒ってる。

「...ファイストか?」

「そうよ!妾こそがファイストなのよ!」

「条件通り、お前に勝ったぞ。契約を結んでくれるか?」

「ぐぬぬぅ...仕方がない。条件は条件だ。お前と契約を結んでやろう。手を出しな。」

ロイが手を出すと、ファイストがその上に手を重ねた。すると、赤く光る糸が2人の手を結んだ。その糸は次第に消えていった。これが契約成立の証なのだろう。


「お主は、妾が昔契約を結んでいた人によく似てる。話し方も、魔法の使い方も。やつの剣術は素晴らしかったのよ。お主も、刀を武器にしてみてはどうじゃ?」

「刀か...今度試してみるよ。」

「お主が素晴らしき剣士になるのを期待しておるぞ」

そう言って、ファイストは少し悲しそうに微笑んだ。


「ロイ、お疲れ様!」

「ああ、ありがとうツユ。」

「リーダー、次はどこ行くんだ?」

「うーん、あと少しで日が暮れそうだし、今日行けるのはあと1箇所かな。日暮れなら闇属性のツクミのいる闇路神社に向かってみる?」

「ああ。」

「おう!」

「わかった。」


こうして、次の目的地は闇路神社となった。

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セレストの世界 蒼海 @hasumi26

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