第2話 精霊
その日の夜私はある夢を見た。水の上を歩く若い女の後ろ姿が見えた。その女がパチンと指を鳴らすとそこには青い龍の面をつけている青年が立っていた。彼は小さく囁いた。
_目覚めよ_
夢はそこで終わった。あの青年に見覚えがある訳でもない。まあ夢だし。気にすることもないだろう。私は深くは考えなかった。
私はゆっくりベットから起き上がると、まだ脳が寝たまま身支度を始めた。朝食は食堂に行こう。リビングに出るととてもいい匂いがする。そこにはトワがエプロンをしてキッチンに立っていた。
「おはようトワ。何作ってるの?」
「おはよう。今エッグトーストができたところだよ。ツユも食べるかい?」
「えっ!いいの!じゃあお言葉に甘えて。」
「...はいどーぞ」
「ありがとう!美味しそー!」
カリッ焼いたトーストに香ばしいベーコンと半熟の目玉焼きが乗っている。上には胡椒とパセリがかかっている。1口食べると、ベーコンの香ばしさが広がり、その上を卵黄の優しいまろやかな味が包んでくれる。胡椒のアクセントもいい感じだ。なんて贅沢な朝食なんだ。
お腹もいっぱいになり、そろそろ授業に行かなくてはならない。ロイとコウスは食堂で朝食を済ませたようで、先に教室へ着いていた。しばらくして担任のアモン先生が来た。
「おはようございます!今日は皆さんに最初の課題を出したいと思います。早速発表しましょう!それは...精霊と契約を結ぶことです!」
精霊と...契約??どういうことだろう?
「まあ分からないと思うので説明します。この国の至る所に精霊が宿っています。皆さんには属性がありますね?その属性を使い戦う時、どうしても1つの属性では不利になることがあります。それを自分とは違う属性の精霊と契約を交わし、力を借りることで、大きな戦力となるのです。違う属性だからこそできる技、精霊だからこそできる絆が生まれます。」
違う属性の精霊...私だったら音と水以外。そこから生まれる絆...
「例を挙げると、SSクラスの精霊ファイスト。この精霊はブレイジング火山にいます。ですが、クラスが高いと強いですが、契約するのにそれなりの条件が付きます。それは精霊によっても異なるので直接会ってみてくださいね。さあ皆さん!チームの皆んなで協力して精霊と契約を結んできてください。期限は明日の日没までです。頑張ってくださいね!」
寮に戻ってみんなと計画を立てた。
「みんなはどの精霊と契約を結びたいの?」
「僕は星属性だから闇属性のツクミと契約が結びたいな」
「ツクミって確かSSクラスじゃなかったか?」
「そうだよ。でも僕は彼女"じゃないと"だめなんだ。」
ツクミとは闇属性の鬼の精霊だ。SSクラス8大精霊の一つだ。
「俺は火属性だから風属性のアネイがいいな!」
アネイもSSクラス8大精霊一つ。風属性の羽を持つ精霊だ。
「おい!お前もSSクラスかよ!?」
「いーじゃねーかよ!だってSSクラスと契約出来たら強そうじゃねーか!」
「まぁ強いに変わりわねーな。ツユはどうなんだ?」
「私は雷属性のユテルがいいかな。」
ユテルとはSSクラス8大精霊の青龍の精霊。
「逆にロイはどうなの?」
「俺はもちろんファイストだな。」
ファイストは火属性のSSクラス8大精霊の狐の精霊。
「さっきアモン先生も言ってたね。えーっと、この中だったらファイストのいるブレイジング火山が近いね。」
ブレイジング火山とはこの国1番の活火山である。昼夜問わず赤く光るその異様な姿は誰も近ずこうとはしない。私達はブレイジング火山に向かうため学園を後にした。
ここから真実が1つづつ明かされていくことなどまだ誰も知る由もなかった。
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