第12話

放課後の帰り道、俺はクラスメイトに捕まってしまった。

 無理矢理体育館裏に引っ張られた。

 

 高山はいつものように俺に言う。

 「お前、どこまで、冬華を傷つければいいんだ?」


 「俺、これからバイトあるんだけど」


  

 「冬華より、バイトの方が大切なのか??」


「俺は何をやっても、冬華に嫌われるから、バイトに行ってる方が、冬華にとっては安心だ」


「お前な!!」


高山は俺の服を握る。


そして、横にいる竹山が俺に顔面に一撃を入れた。


 「痛、、」


「こんなの、冬華の痛みに比べたらへぇでもねぇだろう」


それから、俺はひたすらに暴力を振るわれた。


 ある程度したら気が済んだようで、俺はすぐに遅れることを店長に連絡した。


 店長には物凄く心配された。


 やっぱり良い人だ。


ーーーーーーーーー


 ゆうが帰って来なくなってから数日が経ち、ゆうが居ないこと寂しさを正直に口に出すようになっていた。


 「お兄ちゃん、本当に全然、帰ってこないね」


「あの、バカ」


「ゆうくん、、、」


「お兄ちゃん、いつになったら帰ってくるかな?」


「最近のゆうはおかしかった、家にいても、変わらないよ」


「私はゆうくんが居ないと寂しいよ」



 「私も、もっとお兄ちゃんと一緒いたいよ」

  春香は泣き出してしまった。


「ごめんね、あんなこと言って。私達、家族だもんね。」


「春香、冬華、ゆうくんを探しに行きましょう!」


 

「そうだねぇ、お母さん。お兄ちゃん探しに行こう」


 「私は学校であってるけど、今何をしているのか、私も知りたい。」


 結局、その日はゆうを見つけることは出来なかった。


ーーーーーーー


 俺はまなちゃんの墓の元に行く。

最近は家に帰る必要もないので、バイトの時間を遅くして、ここに来れる時間も作れるようになった。ただ、放課後に長めに絡まれてしまった為、


「ごめんね、今日は手紙を置いていくね」


  昼休みに書いといた手紙だけ置いとく。


ーーーーーーー

 私はゆうの後を付けてみた。

 

 これは、誰の墓なんだ。


 桜町 愛菜 知らない人の名前だ。


 さっき、ゆうが置いていた、手紙。


 量多!!

 

 そこには、私が想像もしてなかった世界があった。





 ゆう、私達のことでずっと苦しんでいたのね。


 冬華、俺だって友達と一緒居たいから学校でおちょくるの辞めてくれよ。


 冬華、もう変な噂流すのやめくれよ。

 

 あはは、私も十分戦犯か、、、




 最後に書いてあった。


 ストラップ無くなっても、いつか一緒居てね。


 だから、あそこまで大切にしていたのか。


 そして、ストラップを捨てた時に学校で見せた顔を思い出す。



 私は最近、ゆうに話をしなくなり、家に帰らなくなってからゆうの大切を知った。


 ゆうが家を出て、頭を冷やせば良いと思って居た。

だがそれ以上に私はゆうに会えない、話せない寂しさを感じて居た。

 

 そして、私は何度もこの手紙を読み返して、自分のやって来たことの愚かしさを感じた。


 その日はずっと、罪悪感と悲しみに襲われた。

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