第5章 個々の底上げ

チームのため、その意図とは

ある日、仕事は休みで練習のみある。起きて部屋には里奈ぴょんがいない。同部屋で同期でどこに行くにもお風呂やトイレに行くにも一緒。なのにどこにも見当たらない。


すると先に練習場に里奈ぴょんがいて練習前にコーチからあることを告げられることになる。

「横山からある提案がされた。それはチームの底上げのために沢山の選手と対峙した方がいいから遠征をしたいと申し出てくれた、皆さんどう思う?」


感動して拍手する選手もいて少しづつだが力を付けていた里奈ちゃんが言うなら自分も頑張りたいと思うメンバーが多くいて遠征することを賛成をしていた。


ずっと側にいる蒼唯には何を考えているか分かる。

チームの底上げをしたいと思っていることにウソはないと思うが本意ではないと思う。目的は観光と名物が目当てではないかと考えていた。元日のお願いに全国各地に行ってみたいと言ったがこの様な形で実現しようとは。


練習後、メンバーは里奈ぴょんに集まってその経緯を尋ねてみんながレベルアップすればアーチェリーとして横須賀食品の知名度が上がるし世界大会やオリンピックの日本代表が団体メンバーが横須賀食品で占めたらカッコイイでしょ、夢のある話だしこのメンバーなら出来るかなと。


そこまで考えてくれるって嬉しいと泣き出す子もいた。

ふと思ったが遠征をするということは遠くまで行くため、移動費、宿泊費、飲食費等は給料から天引きとなるのかそれとも経費として自腹を切らなくていいのかと蒼唯は考える。


練習後、晩御飯を食べ終えて部屋に戻る。

里奈ぴょん、みんなことを考えて遠征を提案をするって偉いね。勝手に全国各地に行きたいから提案したと思っていた自分が恥ずかしいよ、ゴメンね。


安心して、あおいたん。全国各地に行ってみたいという理由は間違っていないよ。でもアーチェリーをやっている身として強くなりたいという気持ちにウソはないし、練習後に団体メンバーが横須賀食品で占めたいと思っているよ。

全員が底上げ出来たら不可能ではないよ。


翌日、会社の経費から遠征出来ることになったから頑張ってくるように。広告塔として全国に知名度を広げるためにティッシュ広告とそれぞれの場所で商品を渡すようにとのこと。いわば全国遠征と営業を兼ねているということだ。


自分で言うのは何だが蒼唯を筆頭に日本選手権の団体戦であったり、世界大会やオリンピックで制した実績があるからこそ練習してみたい、試合を組んでみてお互いのレベルアップに繋がるのではないかと勝手に考えていた。


コーチも含めて誰もツテやコネがなく、電話をかけて一緒に練習をしませんかと北は北海道から南は沖縄までひっきりなしにお願いをしていた。その効果があったからか複数のチームからお相手したいと申し出てくれた。


行ったり来たり

まず、横須賀食品アーチェリー部が向かうことになったのは群馬県高崎たかさき市に拠点を置く高崎アーチェリー部。メインは高崎だるまの制作と生産をしている会社で近年アーチェリーに力を入れていて群馬県では有数のチーム。


遠征に向かう日、寮の前には観光バスが待っていて乗車して群馬県高崎市に向かう。まるで修学旅行の様な気分になっていた。蒼唯の隣の席は言うまでもなく里奈ぴょん。


朝早起きしたこともあり、しばらくの長旅になりそうだと寝ようとしていたが隣にいる里奈ぴょんはスゴい元気であれが横浜駅だよ、東京タワーやスカイツリーが見えるけど大きくないと中々寝かせてくれない。


はしゃいでいる姿とテンションは学生と変わらず、それが里奈ぴょんのいい所ではあるが隣で寝ようとしている人を寝かせてくれないのはと困惑している。


近くのホテルには浅間山あさまやまが見えてホテルの玄関には高崎だるまがお出迎えしてくれる。あやかりたいと撫でながらお願いをしていた。


ホテルのコンビニでだるまにかたどったお弁当を見つけて蒼唯と里奈ぴょんはそれぞれ違うお弁当を買って部屋でお互いに食べていた。翌日のために早く寝る。


高崎アーチェリー部の練習場に向かって練習前に自社の商品とティッシュを渡して一緒に練習をしているとレベルが高いなと実感をしていたが自分たちも負けないと目を輝かせて練習をして試合形式を行う。


それぞれのメンバーが自分の実力を発揮しようとしていたが慣れない場所、温度や湿度の違いから思うようにいかずに悔しがっている光景が見られる。何がよくて何がよくなったのかと分かるだけでも遠征に来た意味があったかな。


蒼唯や里奈ぴょんを始め、それぞれ課題が見つけてそれをなくすように練習をしていこうと横須賀に帰る。途中の道の駅でだるまのステッカーやキーホルダー、小さいだるまを買っているメンバーが沢山いた。名物だから手に取りたくなるのかなと見ていた。


翌週は東北では強豪、福島の猪苗代いなわしろ町にある磐城いわきアーチェリー部に行くことになる。遠征でまさか白河の関を越えるとは思っていなかった。


隣の席は決まって里奈ぴょんで、寝てるから有名なものがあったら写真を撮ってラインで送るようにお願いをしていた。


人間の記憶は忘れるものだが見て、あれが磐梯山ばんだいさんみたい。こっちには猪苗代湖いなわしろこが見えると嬉しいそうな顔で伝えてきてくれる。


起こさないでって伝えたのに何故か怒れない。それが里奈ぴょんの人柄ってことなのか。眠過ぎて何も食べる気にならず旅館に到着するなりスグに着替えて布団にくるまる。


高崎アーチェリー部と同じように磐城いわきアーチェリー部にも同じように自社の商品とティッシュを配って練習が始まる。


東北の強豪ということもあってハイレベルの練習で試合形式をしていると攻防戦で里奈ぴょんも蒼唯も苦戦していた。勝つことが出来てももっと納得がいっていない。


帰りにサービスエリアで蒼唯と里奈ぴょんは喜多方きたかたラーメンと全国的にはあまり知られていないが福島円盤餃子を食べていた。名物を食べるっていいねの話す。


福島といえば忘れてはいけないのは赤べこ。赤べこかわいいと蒼唯が舞莉矢ちゃん、奈緒ちゃん、遥華ちゃんにも渡して買おうとしていた。


色違いの赤べこを複数買おうとしている里奈ぴょん。誰かに渡すのかと聞いてみると違うよ、これは全部里奈のものだよと何種類買うつもりなのかと思うくらいカゴに入れていた。夜中に寮に着いて早速部屋に並べていた。


自分の好きな物を買って並べてもらうのは大いに構わないが蒼唯の部屋でもあって相部屋だということも忘れないで欲しいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る