つかの間の休み

久しぶりの地元

クリスマスから練習が休みで里奈ぴょんの仕事終わりを待って一緒に帰省することになった。自分の地元に誰かを連れて行く経験がなく、どこに連れて行けば喜んでもらえるのかなと頭の中で考えていた。


静岡のソウルフードであり、代名詞とも言える「さわやか」はどこかで行きたい。後は掛川城以外パッと出てくるものがなかった。範囲を広げて行こうかと色々と考える。


スマホで調べていると掛川にキウイカントリージャパンという施設があって面白そうだなと候補に入れる。西に行けば浜松、東に行けば静岡市や富士山やサファリパークや御殿場市などがある。


静岡横断をするのも興味深い、やった事のないことをするのも案外いいかもと蒼唯は部屋で考えていた。蒼唯も含めて食べることが好きな子たちばかりだから外でご飯を食べていても家族と食べていても楽しそうだなと妄想をする。


夕方になり、満身創痍まんしんそういな表情をした里奈ぴょんが部屋に戻ってきた。何か小声で呟いているなと思って聞いてみる。


「あおいたん何か美味しいものが食べたい、あおいたん何か美味しいものが食べたい」


スマホで新幹線のチケット取っておいたよ。静岡に美味しい食べものあるから一緒に食べようね。ロボットのようにずっと言っていないで今日は早めに寝るよ。明日の朝に掛川行くから。


実家に帰るとはいえ、久しぶりなのに手ぶらで帰るのはと思い何がいいか里奈ぴょんに聞いた。横須賀土産でしょ〜考えたこともないとスマホで検索をしていた。


横須賀海軍カレーが有名だけど正直どこのスーパーでも売ってるからなといつもに増して考えてくれた結果が出た。フルーツ大福、どら焼き、シフォンケーキ、プリンかなとホームページに載っている物全て挙げていた。


この中からどれか買えば間違いない、スマホで調べたと言っても地元民が言うなら大丈夫だな。単純に自分が食べたい物を言っていても敢えて触れないでおこう。


翌日、最寄駅に向かってお土産をかって小田原に向かおうと切符を買おうとすると里奈ぴょんの姿が見当たらない。中に入ってしまった手前出られず、電話をかけてしばらくすると切符を買って合流する。両手に持った紙袋に驚く。


ちなみに中身は何かと尋ねてみる。昨日言っていたお土産全て買ったのと笑顔で答える。何となくそうかと思ったが予想は的中していた。新幹線は指定席で乗る時間も決まっているため、ひとまず小田原駅に向かう。


途中の乗換駅であれも美味しそう、これも美味しそうと買おうとしていたため、帰りは自由席で帰るからその時にしよう、新幹線は待ってくれないから急ぐよという押し問答を繰り返していた。


寄り道ばかりしていたせいで小田原駅発の新幹線がギリギリの時間になってしまったが何とか乗車することが出来て予定時間に掛川駅に着くことが出来た。数年ぶりに地元に帰ってきたと改めて実感する。


家でゆっくり

迎えに来てくれた父親と母親に里奈ぴょんを紹介をする。

かわいらしい子だねと言われると満面の笑みで嬉しそうに車のトランクに荷物を乗せて家に向かう。


もうすぐ正午でお昼ご飯を家で食べるか外で食べるのかという話になり、里奈ぴょんに尋ねると静岡名物が食べたいとザックリした答え。みんな好きな物を食べられるように近所にあるスーパー向かう。


これ美味しそうだなと小さめの海鮮丼と富士宮やきそばを見て驚く。この組み合わせは静岡の人はしないよと伝えても里奈が食べるからいいのと全く聞く耳を持たない。


蒼唯は久しぶり静岡で何を食べようかと悩んで陳列を眺めていて三島コロッケを全面的に押し出しているお弁当を見つけてこれにしようと籠にいると里奈ぴょんはそれも美味しそうと眺めている。


会計を済ませて家に帰って里奈ぴょんは家に上がる。

両手に持った紙袋を渡して父親と母親も驚いた顔でありがとうと忖度そんたくしていたが明らかに困っていた。


お昼ご飯を食べているといかにもちょうだいという顔と目で訴えてくる。コロッケを半分にして渡すともらっていいのと嬉しそうな表情をする。


白々しく分かってやっているといいたくなるが、代わりに海鮮丼と富士宮やきそばを少しずつもらって等価交換していた。いや、蒼唯の方が得をしている様な気がしていた。


舞莉矢ちゃんや奈緒ちゃん、遥華ちゃんが来るまで家で里奈ぴょんと共にくつろいでいようかなと思っていた。たが遥華ちゃんから電話がかかってくる。


機材トラブルで予定の搭乗が難しくて韓国に行けそうにないけどどうしたらいいかな。最速で日にちまたぐくらいなら飛ぶ予定だけど中部国際空港の近くにカプセルホテルあるみたいだからそこに泊まって始発で向かうか、朝イチの飛行機に乗っていくか話し合っている。


ちょっと待って欲しいと保留にする。現状を里奈ぴょんに伝えてその立場ならどうするか聞いてみた。


空いているなら中部国際空港の近くにあるカプセルホテルに泊まるかな。韓国は緯度が高いから今度は雪で飛ばなくなる可能性もある、だから早めに日本にいた方がいいよ。里奈なら多分そうするかな。


保留を解除して里奈ぴょんの言ったことをなぞるように遥華ちゃんに伝え、チマチョゴリのお人形を忘れないようにと念押しした。とりあえずカプセルホテル取れたから時間になったら搭乗がする、ちょっと昼寝するから時間になったら電話とラインして欲しい。


忘れないようにと舞莉矢ちゃん、奈緒ちゃん、遥華ちゃんそれぞれにチマチョゴリを買ってきて欲しいとお願いをしていた。


韓国にいた時はお世話になったからアラーム代わりくらいいくらでもするし、チマチョゴリのお人形が欲しくてたまらない里奈ぴょんにも手伝ってもらうことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る