アジア大会

日本代表

アーチェリーで結果を出してきて外野からとやかく言われることが増えたが身内の横須賀食品アーチェリー部ではみんな優しくしてくれて休みの日はどこか行こうと誘ってくれている。


里奈ちゃんには韓国に武者修行していた時に何が大変だったか、向こうのアーチェリーと日本とではどう違のか。異文化に触れてみてどうだったかと聞いてきてくれてその子たちが日本に来た時に紹介して欲しいとまで言ってくれる子もいる。


人懐っこくアーチェリーのことから蒼唯のこと、プライベートの事に関して何でも聞いてくれるかわいい同期のために舞莉矢ちゃんな奈緒ちゃん、そして遥華ちゃんに仁川いんちょんアーチェリークラブのメンバーを紹介してあげたい。


そのためには同期か蒼唯が世界大会、もしくはオリンピックに出場する必要がある。その上韓国に行きたいと言うがもっと難易度があがるため普通に観光で連れて行った方がいいのかと色々と模索をしている。


そう考えていた矢先、コーチから食堂に呼び出される。

何かと思っていると手紙を渡されて書かれた日時の指定された場所に向かうようにとの事。

蒼唯としては冷静に手紙を受け取る。それは高校時代に同じような形式でもらったから。


これは世界大会の招集だろう。いやそうに違いないと自信を持って部屋に戻る。もし仮に伝えて間違っていたら恥ずかしいため、アーチェリー部のメンバーには伝えないようにしようと決めた。


集合の日、練習の休みで里奈ちゃんには招集されたからちょっと東京に出かけてくるねと告げて電車に乗る。世界隊の団体戦としてなのか個人戦としての代表なのか、それとは全く違う理由で呼び出されたのかと考えるだけで怖い。


待ち合わせ場所に行くと周りには誰もいない。アーチェリーの世界大会での個人として招集されたのならばもう少し人がいるはず、なのに誰もいない。


怯えながら待っていると協会の人から各国1人ずつで戦う世界大会の代表として三島蒼唯様を日本代表として選出して置いたと伝えられた。1人ずつってどういうことなのか、もし負けたら日本に帰って来られるのだろうかと違う心配をする。


帰りの電車に乗ってラインでその事実を伝える。

おめでとう、蒼唯ちゃんなら大丈夫だよ。もし日本に帰ってこられなくなったとしてもどこでもやっていけるよ。安心して。

そうナゾの自信を持つように言われるが全然説得力もなければ擁護にもなっていない。


どこでやるかも後日連絡するとしか言われていないがとりあえず韓国も参加するみたいだからと舞莉矢ちゃん、奈緒ちゃん、遥華ちゃんにも連絡をすると応援に来てくれるみたい。


応援に来てくれるのは嬉しいし、とても心強いが蒼唯は一体どこに行ったらいいのだろうか。


久しぶりの再開

協会から韓国で開催されると通達があり、仲良しの同期や横須賀食品アーチェリー部のメンバーに教えるとみんなで休みの日を利用して韓国に応援に来てくれるとのこと。


みんながみんなパスポートを持っている訳でもないのに行くと約束してくれるのは嬉しい。裏返せば蒼唯の応援のために態々わざわざ取得しようとしてくれていることに対して負けは許されないと実感をする。


日本に戻ってきて約半年、また韓国に行ける機会があるとは正直考えておらず大会が終わったら横須賀食品アーチェリー部のメンバー、そして仲良しの舞莉矢ちゃん、奈緒ちゃん、遥華ちゃん、仁川いんちょんアーチェリークラブのみんなでご飯を食べれたらなと計画をしていた。


韓国での開催を聞いてから1ヶ月、蒼唯は荷物をまとめて決戦の地韓国に乗り込んだ。舞莉矢ちゃんに連絡したらまた泊めてあげると言ってくれたが何度もご厄介になるのも申し訳ないと思ってビジネスホテルを取ってもらってるから大丈夫だとついウソをついてしまう。


泊まる予定のホテルは夕食付が埋まっていて安いプランしか空いていなかった。安さやご飯も大事だが、今回はあくまでもアーチェリーの世界隊て来ているから優先は会場から近いところと考えていた。


外に出てケガをしては元も子もないため、宅配で晩御飯と翌朝をスマホで注文して届くのを待っていた。予定時間になっても届かず数時間が経ってやっと届いた。ピザのような出来たての物を頼まなくてよかった、日本の宅配の凄さに驚いた。


3日間かけて行われるアーチェリー世界大会。日本代表の初戦は開催国でもある韓国。仁川いんちょんアーチェリークラブの誰かと対戦すると考えていたが全く知らない選手。残念な気持ちもありつつ試合に臨み、快勝する。


会場の外で待っていてくれた菜緒ちゃんや遥華ちゃんたち、会場には入れないから外で終わるまで待っていてくれたとの事。この日は所属する横須賀食品アーチェリー部のメンバーは決勝まで進めば来れると試合後にラインが届いた。


勝利にパーティーを開きたいと遥華ちゃんが提案をしてくれたがまだ初戦を勝っただけだからと断りを入れた。その代わりに決勝で横須賀食品アーチェリー部の人たちも見に来るみたいだからそこで盛大にパーティーをしようと持ちかける。


翌日に台湾、アメリカと次々と勝利を重ねて決勝戦に進むことが出来た。イタリア戦が決まり、対戦相手は将来を嘱望されている世界でも名の知れている選手。気持ちで負けたらダメだと蒼唯は負けるつもりはなかった。


結果は完膚無きまでに打ちのめして弓道に続き、アーチェリーでも世界の頂点に立つことが出来た。決勝戦まで来て慰め会にならずにちゃんと祝賀パーティーに出来て良かったとホッとしていた。


会場近くの焼肉屋で蒼唯、舞莉矢ちゃん、奈緒ちゃん、遥華ちゃん、仁川いんちょんアーチェリークラブ、里奈ちゃんを始め、横須賀食品アーチェリー部のメンバーが集まって焼肉をしながら話題は終始蒼唯の話で盛り上がっていた。


韓国ではどうだったか、今いるチームではどんな感じなのかとコースで予約したのに1つの話題で終わるってそんなに喋ることのある人間なんだと改めて気がついた。

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