指折りの

気がついたら

武者修行成果があったかは分からないが三島蒼唯個人として、そして団体戦で徐々に県大会でも勝てるようになり、全国でも常連になって周りから憧れる存在となる。


スポーツの試合で絶対に勝つということはありえない。

負けている時は批判して叩いていたかと思えば今度は強すぎてつまらない。何か細工をしているのではとありもないことをでっち上げられる終い。


勝てなくて叩かれたり批判されることはある程度考えていたし、それは蒼唯に結果を残して欲しいという裏返しだなと考えていたがまさか勝ってもたたかれるようになるのは予想だにしなかった。手のひら返しもいい所だ。


世間のために勝ったり負けたりするつもりはないし、今度それをやってしまうと八百長疑惑が出てくると思われる。自分は自分、他人は他人の割り切ってやらないと周りに振り回されて方向性を見失いそうになる。


短期的な目標としてはアーチェリーと言えば横須賀食品、その中で代表する選手と言えば三島蒼唯と誰もが知る存在になるようにすることを念頭に置いていた。


真剣勝負だからこそ勝利した時の喜びが大きい。なのに強くなった蒼唯とは戦いたくない。トーナメント表を見て初戦で当たる、勝ち続けたら準々決勝で当たると試合をする前から楽単をする選手が増えてきたと声が届く。


まだ試合が始まってもいないのになと思いつつもそのように思われる選手になってきたことは嬉しいし誰が決めて負けるつもりはない。特に蒼唯のことを恐れている選手には負けるわけがないと考えていた。


いつしか日本では無双状態になっており、世界大会でも少しずつ勝てるようになって日本でやり残したことはない後は世界大会で優勝をするだけとネットニュースで取り上げられていた。


日本から出ていこうとは全く思っていなかったが強くなりすぎると日本から出て行けと言われるのは寂しい。そのうちオリンピックでもいつも代表が三島蒼唯ばかりだから国籍を変えて出て欲しいという意見まで出てきそうだな。


肯定派と否定派の意見では圧倒的に後者の方が多い。とはいえ興味がない、どうでもいいと言われるくらいなら嫌いや日本から出て行けと言われた方がまだマシ。


アーチェリーという競技、三島蒼唯という選手に興味を持ってもらうためにも出られる試合は全て出るくらいの気持ちでいる。


寮に置いてあるチマチョゴリを着たお人形を見ると韓国にいる仁川いんちょんアーチェリークラブの人たちな舞莉矢ちゃん、菜緒ちゃん、遥華ちゃんは元気にしているかなと気になる。


いっそ韓国に移り住んでまたみんなとアーチェリーをしようかなと考えるが働く場所がないなら厳しいとスグに断念をする。


面白そう

常に気を張っている蒼唯、それが周りにも伝わってしまったのかアーチェリー部の人たちで出かけようという話になった。自分から出かけることよりも誘われたから出かける方が圧倒的に多かった。


同部屋の里奈ちゃんとプライベートの話をしていると産まれも育ちも生粋の神奈川横須市。実家は家から歩いて行ける距離にあり、ご当地グルメとしてポテチパンを紹介をされる。名前の通りパンにポテトチップスを挟んだ物で見た感じでは味の想像が全くつかない。


それだけでなく店舗によってタルタルソースのトッピングが出来たり、挟むパンがフランスパンがあったりと沢山種類があってどれも美味しい。駅に向かっていると横須賀海軍カレーのお店を見つけて入る。


スパイシーなカレーでクセになる味、毎日食べても飽きないような味だなと時間を見つけてまた食べに来ようねと話し合うくらい。


そして電車に乗って横浜の中華街で半日、食べ歩きをしていると当たり外れがなくて観光客にも地元民にも好かれるような食べ物が多いな。何かもっと冒険をしているグルメはないのかと話し合っていた。


この日はもう時間も遅く、寮の門限も近づいていたこともあってか翌週またご当地グルメの旅をしてみようという話が挙がる。どこにどのようなご当地グルメと出会えるのかを考えるだけで楽しみだなと感じていた。


この日は横須賀市を起点として川崎市まで巡ろうとまず、鎌倉に向かう。神奈川県でも有数の観光地の鎌倉、週末ともなると観光客が多くて飲食店も終始賑わっている。


その中でも鎌倉名物とうたっているしらす丼が気になって長蛇の列に並んで食べると新鮮なシラスが沢山乗っていてスゴいお値打ちだなと感じていた。


次に電車で川崎駅まで向かう。

有名な川崎大師に向かう途中に川崎餃子という旗を見かけた。餃子だと栃木県の宇都宮や静岡県の浜松餃子が有名だが川崎餃子は初めて聞いた。餃子セットを注文をして正しい食べ方をレクチャーを受けていた。


餃子といえば醤油、お酢、ラー油というのが定番だが川崎餃子は違っていた。みそ、お酢、ラー油で食べるものだと話を聞いて餃子に味噌とどんな味がするのか想像つかない。


ご当地グルメということは川崎市民には受け入れられているはず、見た目で判断はよくないと思って食べてみるととても美味しい。写真に撮って舞莉矢ちゃんや奈緒ちゃん、遥華ちゃんに贈ってオススメだよと紹介をする。


その日の夜、奈緒ちゃんと遥華ちゃんは仁川いんちょんアーチェリークラブ専属の通訳と運転手になったから日本に行くことがあればみんなで行くねとラインで送られてきた。

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