プロセス

結果も大事だが

試合を重ねるごとに得点が上がって段々と勝てるようになってきた。団体戦でも蒼唯の活躍で県大会出場を決めることも増えてきてやっとチームに貢献出来ているなと感じていた。


三島蒼唯個人として、横須賀食品の団体戦のメンバーとして勝ちに導くためにここにいることは分かっているしまだまだ上にいきたいと常に向上心を持っている。仲間は評価をしてくれているが周りが全員そうではない。


個人戦の全国大会決勝で負けたり、横須賀食品が県大会で負けて全国大会に導けなかったりすると批判や叩かれるのはいつも蒼唯だけ。個人戦ならともかくどうして団体戦の負けを全てなすり付けられなきゃいけないのかと不信感にいる。


ひとまず舞莉矢ちゃんに電話をかけて今の現状を話す。

言いたいこともあると思うのに否定も肯定もせず蒼唯ちゃん大変だね、舞莉矢に話してくれてありがとうと相槌をしていてくれた。


すると自分でどうしたらいいか分からないと泣き出してしまう。少し休むか別の場所でやってみてもいいかも知れない。誰も知らないところなら気にならないでしょ。


知らない場所でアーチェリーか……。考えもなく、武者修行をコーチに打診に行くか数日間悩んでいた。過去にこれ程までに悩んだことがあるかというくらい悩んでいた。


蒼唯が学生ならスグにでも飛行機に飛び乗ってどこの国でも行くつもりだが横須賀食品というチームに加入している以上は勝手なことは出来ない。コネもなければアテもない。どのくらい日本にいないのかも見当がつかない。


とりあえずアーチェリーをやっている国をスマホで探した。日本以外には中国、韓国、台湾、ベラルーシ、アメリカ、ドイツ、イタリア、イギリス、メキシコ、ロシア、ウクライナ等となる。


その中でも強豪国と呼ばれているのは韓国、台湾、中国、アメリカと挙げられていてどこに行こうか悩んでいた。それぞれの国にあるアーチェリークラブに只管ひたすら英語でメールを送る。


韓国語も中国語、台湾語で日常会話や文章でやり取り等は出来ないため、万国共通の英語ならまだ何とかなると思って頑張って見たものの全然返信がない。


もしかしたら弓道のイメージが強いから。きっとそうだと思ってアーチェリーをやっている動画を添付して再度送り直した。決めたことはやり切るという諦めの悪い部分が如実に表れる。


すると韓国のクラブチームからメールが届く。英語で送ったのに何故かハングル文字で送られてきて何が書いてあるのか全く分からずにいて翻訳で調べていた。


パスポートは持っているものの数ヶ月いるため、日常生活を送るのが大変だな、空港で翻訳機を借りれることが出来れば大丈夫かな。そう考えているとラインが届く。


誰かなと確認をすると舞莉矢ちゃんからだ。

「蒼唯ちゃん、元気してる?数ヶ月前から異動で韓国に赴任することになって寂しいよ。いつでも遊びに来てね〜」


それを見て、すぐさま電話して事情を伝えたらそれなら家で居候いそうろうで家で一緒に生活しよう。お互いに寂しくないしいいと思うよ。日時決まったら教えて。


コーチにお願いしたらとりあえず半年ならと許可をもらって寮に戻る。翌日に羽田国際空港を出るよと舞凛ちゃんに電話をすると仁川いんちょん国際空港に迎えに行くから着く時間教えて欲しいとのことで到着時間を伝えた。


翌日、羽田国際空港から舞莉矢ちゃんが待つ仁川いんちょん国際空港便の飛行機に乗る。数時間のフライトで疲れはあったものの久しぶりに見る舞莉矢ちゃんの顔を見てそれもなくなった。こうしてしばらく居候いそうろうさせてもらう事になる。


気にしない

逃げるように日本を飛び出して韓国仁川いんちょんにやって来た蒼唯。韓国語が分からずにいるため、ジェスチャーや英語で会話をしようと心がけていた。通訳で誰かといればいいがそういう人はいないために死ぬ気でどうにかしなくてはといた。


半年の猶予ゆうよ期間をもらったにも関わらず何も収穫がないままに横須賀に帰っては何のためにここに来たのか分からない。たどたどしい英語で何とかクラブの人たちと何とかコミュニケーションを取ろうと頑張っていた。


仲間も日本からやって来た蒼唯に仲良くなりたいと思っていたのは仁川いんちょんアーチェリークラブのメンバーもどうにかと英語や日本語を頑張って覚えようとしていた。お互いに異文化を学ぶことは大切だなと感じる。


ある日クラブが蒼唯にアーチェリーに集中して欲しいからとある助っ人を連れて来てくれた。それは過去に弓道日本代表として共に戦った犬山菜緒いぬやまなおちゃんと大宮遥華おおみやはるかちゃんがいた。


菜緒ちゃんは通訳担当、遥華ちゃんは運転手として送迎をしてくれると聞かされた。何故最初からこの2人にも連絡をしなかったのかと後悔をするくらい。練習後に菜緒ちゃんと遥華ちゃんに抱きついてご飯に誘う。


せっかくならばと居候いそうろうさせてもらっている舞莉矢ちゃんも呼んで何かを食べたいな。またこの様な形で日本代表で戦ったメンバーと会えるとは思いもしない。そしてゆっくり話せて長時間いられる焼肉屋に行くことにした。


日本の焼肉と韓国の焼肉にはどのような違いがあるのか気になっていたが店内の雰囲気の他にタレが違っていた。辛い食べ物がそこまで得意ではない蒼唯。辛いものが多い韓国でこれから生活していけるのだろうかと心配している。


住めば都ではないが、ふとこのようなことを考えた。

飛び立てば都、知らない場所であっても新発見は面白いな。結局のころ楽しむことがナンボだと話し合っていた。心強い仲間が加わったことによって今迄以上にアーチェリーに集中することが出来る。


蒼唯が韓国にいるのは半年、その間に4人でまた会ってご飯に行ったりどこか出かけようと話し合って蒼唯は舞莉矢ちゃんの家に戻って行った。

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