弓道部の才色兼備
普及させるために
勉強でも弓道でも群を抜いて出来ていて同級生のみならず先輩からも慕われるようになっていた。県大会では強くても中々全国で勝てなかったチームを全国大会常連に押し上げに貢献していた。
スポーツ名門校にありがちな勝利至上主義で特待生、推薦でしか取らないという訳ではなく初心者の入部も許可をされていていた。コーチも数人いて初心者に教える人、団体戦常連の人たちは別のコーチが指導すると分かれていた。
団体戦は難しくても個人戦ならチャンスがあるとみんな気合いが入っていた。始めて弓道に触れる同級生が教えて欲しいとから自主練に付き合ってと頼まれたら噛み砕いて分かり易く身振り手振りつたえて感覚が掴めるようにする。
初心者で個人戦に出ると緊張する。そうなると練習で出来ても試合で発揮出来ないことがある。蒼唯も最初そうだった、自分が始めた時よりも筋がいいと褒めて自信をつけてもらえるように心がけた。
最初はみんな初心者だからと些細なことでも相談するように、弓道漬けで勉強が苦手な子には今から勉強も取り組まないと定期テストに間に合わないよと尻を叩くこともする。下級生だが姉さん、蒼唯お姉ちゃんと呼ばれていた。
少し頑張れば自力でどうにかなる部員とスポーツしかやってこず何から手を付けたらいいか分からないと嘆いている部員と分かれていて蒼唯だけで全員の勉強を見るのは時間に限りがあるため、自力でどうにかなる部員を分かるまで徹底的に教えて勉強が苦手な部員に教える。
これもチームワーク、仲間を見捨てることをせずみんなで乗り切ろうと常に考えていた蒼唯。それでも単位を取れない時もあって申し訳ない気持ちと頑張ってねと励ます。替玉で受けられればいいがそういうわけにもいかない。
弓道部として全国大会で優勝を目指すのはもちろんのことでだれでも入れる開かれた大学だからこそ出来ることはないだろうかと考えていた。毎年学祭で外の露天でクレープ販売と弓道場で部員の実演と体験コーナーを儲けていた。
やってみて難しい、近くに弓道クラブが無いかと聞く親子には蒼唯の通っていた掛川弓道クラブや住む地域を聞いて最寄りの弓道クラブを探したりしていた。もっと沢山の人に知るキッカケとして何か出来ないかと蒼唯は考える。
静岡体育大学の近くにある焼肉屋で打ち上げをしていて議題として弓道の普及にはどうしたらいいかと全員で話し合っていた。弓道場で毎月体験会を開催して多くの人に弓道の面白さを感じてもらえればと決まる。
そして蒼唯がチラシを作って事務所と顧問に提出してやるからには監督しなくてはならないとコーチが交互に弓道場にいて警察署の許可をもらって弓道クラブだけでなく学校帰りの児童や生徒、ショッピングモールでも配っていた。
初回は少ない人数で大学から始めた部員が丁寧に教えていて自分の言葉、身振り手振り教えられるようになっていて傍から見ていた蒼唯、教える側になる日が思うと何故か涙が出てきた。数を重ねるうちに多くの人が訪れるようになっていてやってよかったなと感じていた。
新たな選択肢
気がついたらゼミも終盤、卒論に向けて準備する時期になっていた。周りを見渡せば就職活動を開始する時期になっていた。その流れは蒼唯にも来ていた。
有難いことに弓道で採りたいと言ってくれる会社が多くいていい先輩もいるが上の言ったことに背くなという上司のいる岩谷食品も届いていたが即時に断った。
これ以外の会社で弓道に集中出来る環境を提供してくれる場所に行きたいと懇願していたため、それでもいいかと呈示をする。そうすると上に確認するのでとなる。
中々自分の思い通りにならないことが多いけど伝えないと自分が損をすると身を沁みているから余計に大事だなと感じる。ダメでもとりあえず精神で頭をひとまず下げる。
そう思っているとある会社電話がかかってくる。
「横須賀食品はスポーツ枠で広告塔として三島蒼唯さんにアーチェリー部でお越し頂きたいと思うので検討して欲しい」
中学時代からずっと弓道をやってきた。なのに来たオファーがアーチェリーと聞いて驚いたのとどうしようかと悩む。理由としてはオリンピック種目に弓道はなくてアーチェリーはある。両立する人もいるみたいだが……。
弓道とアーチェリーは同じようで実は違う点が複数ある。
「1つ目に弓の違い。
竹等で作られたシンプルな和弓が弓道と言うのに対して専用の補助具の使用が認められている洋弓を使うのがアーチェリー。
2つ目に的中率だ。
矢が中心に当たればいいのに対してアーチェリーは中心に当たれば得点が高くなる点数制となる。
3つ目に矢を射る目的。
自らの技術で矢を射ることを重きに置いているのが弓道で最新の技術を使って正確に矢を射ることを重きに置いているのがアーチェリー。
4つ目として弓の引き方となる。
弓道では引き直しが許されていないのに対して時間内であれば何度でも引き直しの許されているのがアーチェリーとなる」
経験者なら移っても大丈夫だろうと思われがちだが中々そうもいかない。使用する矢であったり当たればどこでもいいのか点数制になるのか、そして肝心な弓矢を引き直すことが出来るかと今まで身体に染み付いたものを捨てて最初からやり直すくらいの気持ちでいなきゃいけない。
蒼唯からしたらオリンピックには行けないがずっとやってきた弓道をするのかそれともオリンピックに行きたいがために今迄のキャリアを捨てて素人からやり直すくらいの感覚でいる。
仮に弓道で実業団チームに入って活動するとなっても業績悪化によって廃部、弓道しかやってないなら要らないと切り捨てられてまたブラックのバイキングに行き着く匂いを感じていた。
それならばアーチェリーでやって行こうと決める。全く別のスポーツを始めからやる訳ではないから大丈夫。そうでなきゃ困ると呟いていた。いくらブラックでも毎日のように内容証明郵便が届くことはないだろうと祈っていた。
数日間自分だけで考えた上で舞莉矢ちゃんに相談すると応援するよ、他の弓道部の部員の応援が後押しとなってアーチェリーに挑戦することを決めて両親にもその旨を伝え、横須賀食品の受験を受けて内定が出た。
まさかの展開にこれからどうなるのかなと期待と不安にいる。なぜなら実際にいた時にはアーチェリーの話もなくてこの先の展開が全く読めないからだ。
他の人は自分の人生どうなるか分からない不安と戦いなから常に生きているんだなと実感して大学時代の自分に後悔していた。
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