アイツからの連絡
結局何者なのか
絵日記で何冊にも渡ってこれまでの人生を振り返って色々あったな、いい人もいれば自分の私利私欲のために人だと思わず
上辺でいい事を言っていても口コミで悪評なんてことは当然でいい面と悪い面と両方見た上で決めなきゃいけないが核心的な部分は入らなくてはならないと感じた。
もう涙が出てきて何を信用していけばいいのかと疑いの目で見ていかなきゃいけないとなると大変だし精神的に休まる時間がないとため息を付いていた。
するとラインが届く。相手は稲垣進助で何故かアイコンが板垣退助になっているから余計ややこしい。人のことを聞いてくる割に自分の素性を明かさないのは本当に困る。
ラインはこのような内容だった。
「蒼唯殿よ、もうすぐで
入院した当初は自分の人生をやり直せるならと考えていたが今思えばどうなのかなと思う。殿ってこの令和の時代にその呼び方はそぐわない。明治時代の人がタイムトラベラーとしてやってきたのかなと思うが実際にいるのか。
ネットで稲垣進助と検索しても全く出てこず、お願いだから稲垣進助と言う人の自己紹介とどこで何をしている人なのか教えてもらわないと今のままなのか、やり直すのかとそれに対しての答えを出せない。
「よかろう、稲垣進助という人物に語ろうではないか」
そのラインが届いて昭和、平成、令和の人物では無いと感じ取ることが出来た。
「稲垣進助 天保元年生まれで名前の似ている板垣退助殿は遠い親戚に当たり実際に会ったことはない。どこにでもいる庶民。蒼唯殿も歴史で教科書で習ったであろう水野忠邦殿が行った天保の改革の影響をもろに受けて迷惑をして今の現状を変えようとあらゆる時代に行って助けるのが仕事でタイムトラベラーとしてやってきたワケじゃ」
天保の改革ってい久しぶりに聞いた気がする。なぜ大人になって歴史の勉強をしなくてはと思いつつも天保は明治の1つ前の元号になる。つまりまだ江戸時代ということ。
要するに稲垣進助が産まれた時は幕末で坂本龍馬や西郷隆盛がいた時代なのかと関心して最後の
芸能人に会えたように歴史上の人物に会えたことに嬉しさを感じつつも実際に会ったわけではない。もしかしたらこれはワナかも知れない。
上手い言葉で誘惑しているかも知れない、人の弱みにつけこんで何をするか分からないから実際に会いに来て欲しい。もしヘンなことをしたら捻り潰すからと笑顔マークを送信する。
誰もいない時を見計らって稲垣進助はやってきたが見れば見るほど板垣退助にしか見えない。来てもらった人をスグに追い出すのも申し訳ないから少し喋ってギリギリまでラインを続けて信用しようとしていた。
結論
やっと素性を明かした稲垣進助、顔を見せて話した上で全面的に信用出来るかと言われれば定かではないものの蒼唯の人生を変えようとタイムトラベラーとしてやって来てくれた。その上でどの時期に戻るか考えていた。
自分で招いたケガ、不慮の事故に巻き込まれた事などあったがやり直せるなら中学校の入学式からやり直したい。これにはいくつか理由がある。
陸上部に入部して結果が出る時も出ない時もあったが楽しかったし途中から弓道を知ったからもう少し早い時期から始めたらもっと上手くなっていたかも。漢検も早めに準備をすれば元々行きたかった島田女子高校の受験が出来る。
受験当時は合格する確率もフィフティーフィフティー、ならば勉強をする時期を早めれば合格する確率もあがるのではないか、そして弓道部で舞莉矢ちゃんと共に切磋琢磨出来る環境になる。人生の分岐点だと言える。
ラインで中学校の入学式まで戻して欲しいと送った。
するとしばらくして注意事項が送られてきた。
「1つ目に生まれ変わるのはあくまでも蒼唯殿の魂だけじゃ。同じ人間が2人いるとドッペルゲンガーになるから今いる蒼唯殿は死亡扱いになる。
2つ目に過去に戻ると言うことは知ってることをベラベラ喋っては未来から来たことがバレてしまうため自分のこと以外のことで過去は変えてはならない。
3つ目に自分が事故に遭わないために別の道を通ったり電車をバス、自転車を徒歩にと手段を変えることは特例で認められている。
このルールを守らなければ過去の世界で生きていくことも出来なければこの現代で生活することは出来ないため、気をつけるように」
過去に戻ってやり直せるから絵日記を持っていけば自分の思い通りになると思っていたが現代で生活するのも人生をやり直すのも決して楽ではないなと感じる。
稲垣進助からすれば気軽に過去に戻るなと言うことだろう。過去も未来もどちらも大変、その上で過去に戻る選択をしたらならばそれなりに覚悟を持てということだろう。
何かあった時の為に絵日記も持って行きたいがそれもできない。
たとえ退院してもハラスメントのバイキングに連れ戻されるくらいならここでこの身体とお別れをしてやり直そう。肉体的にも精神的にもこれ
「稲垣進助様、私三島蒼唯は中学校の入学式に戻ることを決意したので報告させてもらうので宜しくお願い致します。もう後悔はしたくないので」
了解したぞと返信が来て残り短いこの身体に感謝しつつ鏡やインカメラで自分の写真を撮って思い出に浸っていた。自分に言うのも変な話だが苦楽を共に過ごしてくれてありがとう、ゆっくり休んでねという気持ちで眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます