アレス王子が魅力的、たくさんの人に読んでもらいたい

結構ボリュームがあります。文字数とか話数とか。読み始める前は読み終えることができるかな?と思いましたが杞憂でした。
大半がアレス王子(途中から大公になります)の視点で語られます。
五十年の封印から覚めてみれば祖国の危機。
王都には邪神を復活させるための魔の塔なんて生えて(?)いるし、隣国は侵略の意図を隠さず国内貴族の切り崩し&弱体化に絶賛成功中。
しかも現国王である弟は呪いのせいで死の病の床にある。
こちらの世界でいえば終末時計が残り九十秒をきりました、な状態。
兵力も持たないアレス王子が冒険者ギルド(に潜む帝国勢力)を潰し、エセ慈善団体を潰し、暗殺者ギルドを潰していく途中で協力者を得て魔の塔のダンジョンを制覇し帝国の度重なるちょっかいも退けてなおかつ戦力もガッツリ削いでいく様は爽快です。
不死の呪いのせいで無敵感のある(実際強い)アレス王子。騎士としての強さだけでなく王国を思う気持ち、王族の責務を果たすという強固な意志。呪われた弟に対する愛情や、ダンジョン攻略の仲間に向ける信頼。不死の呪いについて仲間のひとりとのやり取りに死ななくなった(もしかしたら年もとらない?)アレス王子の死生観が垣間見えるよう。そうした内面が語られることで大団円だ、めでたしめでたし、だけでは終わらなかった呪われた英雄アレス王子の、この物語の魅力なのだと思うのです。

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