第6話 ルシファーさん
ルシファー。悪魔王などと呼ばれることもあるぐらい、悪魔の親玉みたいな御方だと思われていることも多い。
「門番さん、おにぎり君が来たからな。ルシファーさんにおにぎり持って来たからな」
門番2名の内の片方がアタフタしながら答える。
「おにぎり君、いつもここまでどうやって? ルシファー様の家来が沢山ここ以外にも見張りをしているのに」
「おにぎり君は普通に歩いてるだけやからな」
「そ、そうですか。ルシファー様に伝えますので少々お待ちを」
しばらくして
「ルシファー様がお通ししろとのこと。どうぞ、おにぎり君」
そこからもそこそこ長い道。
「ルシファーさん、おにぎり持って来たからな」
5メートル程の身長のルシファーがニコリと微笑んだ。
「おにぎり君いらっしゃい」
ルシファーはおにぎりを受け取った。
「美味しい美味しい」
と言ってルシファーはおにぎりを食べる、ほおばる。
「おにぎり君、おにぎり美味しいって言われて嬉しいからな」
おにぎり君はニコニコしている。
ルシファーはおにぎりを食べ終えて言った。
「おにぎり君、次にここに来る時は神の自覚が出来た時にとお願いしましたよね?」
「ルシファーさん、僕は農耕の神様なんかな?」
「恐らくそうでしょう。違うとしても、そう名乗って差し支えない」
「ルシファーさんは悪魔?」
「悪魔というか、ただの魔族ですかね。いや、悪魔のイメージが悪くなり過ぎたもので。元天使ですしね。遊び場としての『世界』は主に悪魔が開発したのですよ。最高神様の『楽園世界』はあまりにもつまらなかったのです。ギター弾きやマンドリン弾きやヴァイオリン弾きが何人も何人もいましたが、誰も聴かない。ああいう仕事は少人数だから価値がある。そう思いませんか? 画家も何人もいました。プロボクサーも何人もいました、怪我することもなく、いつも12ラウンド引き分けでした。分かりましたか? すごく安心安全な世界でした。同じ才能を持った人々だらけでした。そこで、最高神様は『怪我』を作りました、ボクシング等の為に。怪我が作られたので医者という職業も生まれました。といっても、そんなに痛くないものでした骨折も切り傷も。『怪我』と同時に『身長差やリーチ差』も作り出しました。遊び場としての『世界』は悪魔が開発したと言いましたが、言い過ぎでしたね、最高神様も努力なさった。最高神様は本当に皆の事を愛し、よく考える御方でした。他の神々も。悪魔も。『世界』を最高に面白いゲーム世界に変える事。壮大な私達の物語、神話ですよ。似たような流れで、色んな物が作られました。おにぎり君、もうバランスは取れたのですよきっと、この絶望的な世界のバランスこそが終着駅だったのです。あなたはそれでもおにぎりを配りますか?」
おにぎり君は肯き言いました。
「おにぎり君、また旅に出るからな。おにぎりでバランス取るからな。おにぎりで世界を幸せにするからな」
ルシファー様は微笑み言いました。
「時空の旅人というファミコンゲームがあります。何でも突き詰めれば幸せな世界につながるというそんなエンディングでした。おにぎり君、あなたの旅路もそうでありますように」
またおにぎり君は時空を渡りました。
お腹を空かせたウサギさんがいました。
ぐぅ〜とウサギさんのお腹が鳴ります。
「お腹空いたよぉ。お腹が空いて動けないよぉ〜」
「どうしたんかな? お腹空いてるんかな? 僕はおにぎり君やからな」
完
おにぎりくん ピザー @pizza417
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