第2話 猫男の偵察を忘れる。

猫男は私に丁寧に教えるのだが、それは、私が人間だからであるかもしれない。

猫の場合、犯罪でもないのだからもしかすると、裏では猫にひどいことをしているのかもしれない…


「猫田さん」


「ニャい!!」


「どうしたんですか、ボーっとして」


「少し考え事を…」


「考えることもいいですが、まずはコピーの仕方から教えますので、やってみてください」


「わ、わかりました」


私は、偵察隊としてこの地球にある会社と言う場所に侵入して日が浅いので、まだネコ猫星の名残が残っており、まだ驚くと「ニャ」という語尾が出てしまう。


人間たちは、語尾に「ニャ」をつけないので怪しく思い私の事を宇宙人として見破るかもしれない。


気を付けなければ…


私は、猫男先輩に教えてもらいコピーと言う同じ文字を複製する作業をしたのだが…


「ニャニャニャ!!」


「お、落ち着いてください。猫丸さん、まずは、コピー機の停止ボタンを押してください!!」


「こ、これかニャ…」


私は、地球の物をある程度しってここに来たと思っていたが、私の知識は浅かった。


間違えて、20枚で良い所を2000枚もコピーするところだった。


何とか、猫男先輩のおかげで150枚のコピーだけで済んでよかった?


「ふぅ…ごめんなさい。猫男さん」


「いやいや、新人には付き物だよ」


「は、はぁあ…」


仕事で失敗することがこれほど、辛いものだとは知らなかった。


偵察とは言え、仕事は仕事…


生半可な思い出この仕事に取り組んでいるわけではない、それに、それに、今さっき慌てても、「ニャ」の語尾を出さないと決意したのに…慌てて滅茶苦茶「ニャ」の語尾が出てしまった。


落ち込んでいる私を、猫男先輩が励ましてくれて、少しは気分も軽くなったが、まだ、気分は落ちこんでいる。


すると、私を気遣ってか、猫男さんが私に飲みに誘ってくれた。


私も、人間のお酒には興味がある。


ネコ猫星にも、お酒はあるがマタタビ酒と言って同じ味なので最近飽きてきていたところ、私は落ち込んだ気分が復活した。


「よし、猫丸さんこの仕事が終わった後、飲みに行こう。ここは、先輩の俺がおごるよ」


「ほ、ホントですか!?」


「まあね、だから最後まで仕事がんばろうな」


「はい」


私は、切り替えて仕事に取り組んだ。


パソコンと言う物は、なんとか使いこなすまでに至った。


最初は、パソコンに苦戦を強いて、ウイルスに?感染?などをしながらも、今日のノルマである仕事は完了した。時計を見ると、8時になっていた。他の人たちは帰っていたが、猫男先輩だけは帰っていなかった。


「どうして、先輩は帰えらないんですか?」


「ん?ああ、お前に、飲みに誘って俺だけ帰るなんてことできるかよ。終わったなら、飲みに行くぞ」


「は、はい」


私は、人間のお酒がどういう物なのかワクワクしながら『居酒屋・慎吾』と言う店に入った。


中に入ってみると、美味しそうな匂いが漂ってきた。


「何名様ですか?」


「二名」


「では、こちらにおかけください」


と、ここの店の人間が案内した席に着くとまずは、メニュー表と言う物を見て飲みたいものと、食べたいものを注文するらしい。この世界のお酒には詳しくないので、先輩におススメを聞くことにした。


「先輩、おススメのお酒とかはありますか?」


「そうだな…とりあえず生とかでいいんじゃないか?」


「生?…じゃあそれで…」


「生二つと、から揚げとそれに卵焼き二つ」


「わかりました~」


先輩が言った、生とは何なのか分からないが、とりあえず生にしてみた。


生と言うと、お刺身などをすりおろしたものをお酒にぶち込んだものかと思ったが、出て来たのは、黄色い液体と上には白い泡が乗っている。おそる、おそる口にしてみると苦いけども何というか…おいしい!!


「生二つと、から揚げどうぞ。」


「どうも、猫丸、どうだ!?生はうまいか?」


「お、おいしいいニャ!!」


「そうか、そうか、このから揚げも食ってみろ」


「は、はい」


いつの間にか、先輩も私の事を呼び捨てにしているけど別に嫌ではない

先輩に勧められた、から揚げ? と言う物を口にしてみると、熱々で少し食べるのに工夫がいるが、ふうふうを数十回するとちょうどいい温度に冷めて、食べてみると柔らかいお肉と塩加減が美味しく、生と合う。


「ふは~美味しいです。」


「そうか、お前、かなりの猫舌だな」


「え!?私猫じゃないですよ!!」


「え、あ~猫舌は熱いものを飲食できないって言う事だよ。お前が猫って言う意味じゃないぞ」


「へ、へえ~」


あ、焦った。


私が、ネコ猫星から来た宇宙人だとバレたのかと思った。


紛らわしい、言葉だ。


せっかくの、生とから揚げのおいしさの余韻が冷めてしまった。


私は再び、飲んで食べていると、次に卵焼きがやって来た。


「卵焼きです」


「ここの、卵焼きはふわとろでうまいぞ」


「い、いただきます」


卵焼きの中を開けてみると、湯気が立ちとっても熱々だった。


先輩が言うには、この白い大根おろしをつけて、醤油を垂らし食べると美味しいらしいので、卵焼きを冷ました後に、つけて食べてみるとこれも、また美味しいかった。


大根の清涼感と、しょうゆの旨味と卵焼きのとろとろで相性がよくとっても美味しい。


卵焼き単体だと、それほど美味しいとは思わないのだけど、醤油と言う物をつけるととっても美味しい。むしろ、主役は卵焼きではなく、この黒い醤油ではないかっと思うくらい美味しい。


「こら、かけすぎると体に悪いぞ」


「え、でも、美味しいじゃないですか」


「美味しいかもしれないけど、醤油はかけすぎると病気になるぞ」


「ニャ!!」


これは、それほどのリスク付きの調味料…

しかし、美味しいニャ~地球を猫に知るのは惜しいニャ~..…は!?

もしかすると、この人間は私の正体を暴き、この地球を猫にしないよう私に賄賂的な感じで料理をおごっているのでは…

ふん、甘かったな人間、私はこんなもので偵察の手を緩めるわけがないだろ…

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