第23話



「お疲れ様」


笹倉がアイスを俺に渡してきた。


 「ありがと」

 「どういたしまして」


笹倉はアイスを囓りながら、俺にタオルも渡してくれた。


 「今日は助かったわ」

 「別に平気だよ。あれの謝罪だし」


 「そう」


笹倉は顔を頬を赤めてそっと向いた。



 「「、、、」」



 気まずい、、、誰か、助けてよ



 「ねぇ」

 「なぁ」


 「「あ、どうぞ」」


 「「、、、」」



お互いに遠慮して無言になった。



 「はぁ、先にいいわよ」

 「えっと、どうして、あの時『Airisu』を見て『ふざけんな』って言ったの?」



 「あのバンドが嫌なだけだよ」


 「嘘」

 「どうして?」


 「だって、凄い悲しそうな顔しているぞ」


 「っ、、」



俺がそう指摘出来るほど、笹倉は悲しい顔をしていた。



 「嘘つけないほど酷く言いたくないだろ? ただのクラスメートの俺で良ければ相談役になろうか?」


 「どうして?」


 「何故か、心に引っかかるだよ。笹倉がどうしてそんな事を言ったのか? 笹倉が何を考えているのか気になっただよ」


 「、、、」



笹倉は口を小さく開き、唖然とした表情で俺の事を見ていた。



 ん? あれ? さっきの言葉、告白みたいじゃなかった?



 「あ、いや、これは告白では、、なく。えっと、、その」



俺がテンパりながら代弁していると笹倉は


 「ふふ」


少し顔を赤くして楽しそうに笑った。



 「大丈夫だよ。わかっているから」


 「あ、、、悪い」

 「大丈夫だって、何故、私が『Airisu』に対して『ふざけんな』って言った意味ね。私ね。『Airisu』のギター担当の天はね。


私、昔、天とよく遊んでいたの」



  え? あった事あるの? 俺と?



 「あった事がある?」

 「うん。昔、よく私にギターを聞かせてくれたの。丁度この時期によく私のためにギター引いてくれたの。


まぁ、あっちは覚えていないと思うけど。


よく私と遊んでいただけど、ある日、突然来なくなったの。何かあったのかと心配だっただけど、元気よくやっているのを見て私の心配はなんだったのよと思ちゃって、つい『ふざけんな』って言っちゃったの。


でも、楽しそうにやっているのを見て嬉しくなちゃって今の天を応援しているよ」



 良い子だな 本当に



 「なる、ほど。教えてくれてありがとう」



 「どういたしまして?」




 ***



辺りは夕方になり、海の家は忙しい時間が過ぎた。



 「いーや、手伝ってくれてありがとう」



光春さんは俺に向かって



 「はい。今日のお礼よ」



海の家の一番人気のデザートを出してくれた。



 「ありがとうございます」



苺とアイスとクリームが中心的なパフェだった。


俺はスープで救い口の中に入れた。とても甘く、疲れた体全体を癒して行く。



 「美味しい」

 「ふふ、美味しいそうに食べるね」


 「何か言いました?」


 「何でもないよ」



光春さんがボソリと何かを呟いたような気しただけどね。



 「あ、そろそろ」

 「帰る?」


 「はい」

 「そう。今日はありがとうね」


 「はい。また」

 「またね」


俺が海の家を出ると笹倉と


 「あ、お疲れ様」

 「おつかれ、またな」


会って別れを告げて海の家を後にした。



 ***



空がオレンジ色に染まり、賑っていた海は人影が少ないなっていて砂浜から足がぶっ刺さっている以外、普通の光景だった。



 、、、? 刺さっている? 足が?



 あししししししし!? 



俺はおそろおそろ近くと凄く見覚えがある水着を着ていた。



 「、、、悠人?」



俺がそうボソリ溢すと



 「その声は,我が友,冷凍ではないか?」


 「いかにも自分は冷凍である、、、何を言わすだ」



 「ははは、別に良いじゃないか。ついでに助けてくれ」

 「、、、どうしてそんな状態になったんだ?」



そう良いながら、俺は悠人を引っ張り砂浜を出した。



引っ張り出すと上半身が砂が沢山、体が砂だらけになっていた。



 「いーや、助かった」

 「何でそんな風になったんだ?」


 「それはなぁ。つい先ほどめちゃくちゃ、美人なお姉さんがいてなぁ。あまりにも美人過ぎて駆け出したんだが、そしたら、砂に足を取られて漫画みたいに大きく飛び、大回転して砂浜に顔から突っ込んだよ」



あまりにも馬鹿らしい理由に



 「 馬鹿やろう 」



大きく叫んでしまった。


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