タイトル未定
皆乍私語
第1話 覚醒
『……もし………………もし…………』
――何処からか、声が聞こえる。
あぁ、起きなくちゃ……誰かが私を呼んでいる……。
「んぅ」
声にならないような声を出しながら、徐に瞼を開くと、揺らぐ瞳から周りの情報がぼんやりと頭に入ってくる。
灰色の天井、右の壁にある緋色の縒れたカーテン、左の壁に寄り添っている水色の引き出し、―――足の先に目を向ければ、音を立てずに針を回すモノクロの時計、時計の左下には艶やかに臙脂色したドア……
ぼうっとしたままゆっくりと起き上がり、眠気を振り払うようにブランケットを引き剥がした。しばらく、身動ぎもせずに停止していた。けれど、次第に意識がはっきりしてくると、頭の中にある疑問が芽生える。
「ここはどこ?」
私の記憶の中には私が今いるこの部屋に関する記憶が無い。いや、それどころか何も思い出せない、目覚める前の記憶が一切無い。私は何故ここにいる?
何故記憶が無いのか、考えても考えても記憶が無いのだから答えには辿り着けなかった。
混乱する思考を何とか冷静に保とうとしている
『……私の、声は聞こえていますね?』
「え? あ、だ、だれ?」
いきなり聞こえてきた声に戸惑いつつも、何とか返答、いや、返答にすらなっていない疑問を何処にいるかも分からない誰かに返した。けれども私の疑問に対する返答は、私の想像の範疇を超えていた。
『あぁ、まずはそこからですね。……私は、神様です』
「…………え?」
タイトル未定 皆乍私語 @minanagarasasamegoto
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