Special Edition 4 触れられないなら、見つめてみてはどうですか(番外編)

「見つめてみたらどうですか?」

碧(みどり)は課長に言われた。

 

 「僕は、恥ずかしい話、同年代の女性が苦手なのです。」

 以前、面談の時に課長に相談していた。

今日になっても(面談で)まだ碧は言う。

 「しかも、あの子、ちょっと不幸そうじゃないですか?居ても立っても居られないのです。」

 課長は瞬きし、そしてパソコンに何かを入力した。

 「ちょっと大人しい子だろうね。結婚もしてないし。でも同年代じゃないんじゃない?」

 課長は言った。

 「それじゃ、もっとかわいそうですよ。僕より年上でいい歳なのに結婚もない気後れした女性…なんて。」

 「気後れ?」

 「もっと女性としての輝きを諦めないでいてほしいですよ。」

 「一緒に働いている社員だって未婚の中年男性いるだろ?」

 碧は左右を見回して言った。

 「でも…。」

 「見つめてみたらどうかな?

  あの女の子も少し、女性だということを意識するのではないかな?」

 碧は驚いて黙っていたが、やっとしゃべった。

 「え?」

課長は頷いていた。

碧は少しムッとした。

「引き返せなくなったらどうするのですか?」

「言葉の意味わかるの?」

課長は(若いなぁ。)と笑っていた。


 田河実の連絡ノートに碧の会話が書かれていた。

役職を持っているせいか要らぬ噂を聞く。そして誰もが僕を特に恋愛の悩みの解決が得意だと噂する。

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