第61話
◇◇クーガ本選 前夜祭前
クーガ大陸予選が終了し、本大会に進む事が出来た。
カトリーヌが生徒会役員になって初めての事である。 母たちの世代では毎年、当然の如く本大会に出場し優勝もしていた。
後夜祭が終了した、今日は国王陛下主催の壮行会が開かれる。 朝から屋敷の中では壮行会の主役であるカトリーヌの為にドレスの選別や髪形にアクセサリーを付けたり外したりしながら慌ただしくメイドが立ち回っていた。
いま、一番忙しいのはカトリーヌの専属メイド:ローラだろう、妹のシンディーに応援を頼みたいほどだが頼むわけにはいかないのだ、シンディーはカールの専属として働いているからだ
カール専属メイドのシンディーだけは、この騒動から免除されていた。
「カール様 本当に私はお供しなくても大丈夫でしょうか?」
「シンディー 大丈夫だって! 学園の皆も一緒なんだよ 僕だけシンディー(メイド)を連れていけないでしょ?」
何度か話された内容がまた、繰り返されていた。
今回の壮行会もカール達、新人戦メンバーは呼ばれていない。 カールが呼ばれるのは初等学部の最高学年にならなければならない
初等学年の最高学年になる年の新年に王城で開催される新春パーティーがデビュタントなのだ。
このデビュタントは一週間開かれ、このどれかに出席し国王陛下に新春の挨拶をすることになっている。 但し 偶にたまにいるのだが婚約発表などのイベントを考えている者は慣習として最後の日に出る事が多かった。
王城で開かれた、壮行会に出席した、メンバーは国王陛下より今回のクーガに付いての言葉を貰い、感動に酔いしれて居た。
壮行会の翌日はクーガ本選への準備に宛がわれ、その翌日には本選が行われるセントリック諸島の中の一つ、アポロニア島へ向けて出発した。予選に出場した他国の生徒会役員が予選通過者の護衛につくのは、クーガの予選が始まって以来の慣習になっていた。
自分たちが所属する大陸の優勝者を守り、本選で自分達の代表が優勝をするようにサポートをする。
これが他国の生徒会役員の仕事であった。 勿論、身近に接する事で来年の競技に役に立つ情報を集めようという思惑がないわけではない。
応援メンバーであるが、カールの母であるアグネスがカールの妹のマリアを連れて本選が行われるアポロニア島へ行くことになっていた。
流石にマルガレータやマティルダ達が長期間、国元を離れる訳には行かなかったため、代表してアグネスが行く事になったのだ。
通例では生徒会長が乗る馬車の中には他国の生徒会長が通しで乗り、色々な情報交換が行われるのだが、今年は他国の生徒会メンバー等は交代で乗り込む事になった。 代わりに生徒会長が乗る馬車に乗り込んだのはカールの交際相手であるアンネ、クリスティナ、アメリアを招いていた事だ。 6人乗りの馬車の中で何が話されていたかは不明であるのだが、可成り真剣な話がされていたようである。
「あ~ぁ 参ったわ! カールをどうやって守り、隠せばいいのよ? でも実力は出して貰わなければならないし、隠すのは。。。。。」 ボヤキとも取れる呟きを聞いた人が少なからず居た。
馬車の中での会話は、こうして休憩の時にカトリーヌが漏らした話から推察するしかなかった。
いま向かっている、セントリック諸島の中の一つ、アポロニア島で開催される本選は4つの大陸の代表の間で争われるため、大陸予選とは少し点数の配分が違ってくる
本選は10日間で競いポイントが三位までしか入らないのだ。
漸く、ハイランド王国チームは10日間掛けて、本選が行われるアポロニア島に着いた。
本選が始まるまで後4日有る。 ここでも、開催前に前夜祭が開かれて各国の親睦が図られる。 前夜祭の翌日から競技が始まるのだ 新人戦が1日、後は初等学部、中等学部、高等学部に別れ3日間づつ行われる。
本選も大陸予選と同じで初等学部が2日間の競技を行い、新人戦が行われ3日目に初等学部のフラッグが行われる。
アポロニアに到着した翌日は完全フリー日となった。
生徒会メンバーは本番直前まで護衛で同道した他国の生徒会メンバーと今後について打ち合わせを行うことになっていた。 他の高等学部や中等学部のメンバーは各自バラバラで過ごすようだ、
初等学部のメンバーは新人戦に出場するメンバーを率いてアポロニア島の観光に出かけた。
カールの左右にはクリスティナとアメリアが控えしっかりガードをしていた。
実を云うと初等学部の中にもカールに淡い恋心を抱く女生徒が増えだしていたのだ。
クリスティナとアメリアは将来の義姉になるかもしれない生徒会長のカトリーヌから決してカールを一人にしてはいけないと云われていた。
「カール様 私、このアポロニア島には去年、来た事があります。 色々とご案内が出来ると思います。」 アメリアは去年、このアポロニア島で行われるクーガの本選を見るために訪れていたのだ。
流石に王女であるクリスティナは今回のように学園の代表と云うように公の事でもないと国元からはそう簡単には出る事が出来ない。
「あ~ぁ アメリアは自由に出来るから、いいなぁ~」クリスティナの溜息と共に愚痴が零れた。
「あら! 私だってやっと去年 来れたのですわ!」
こんな会話をカールを挟みながらクリスティナとアメリアは話していた。
ハイランド王国の制服を着た23人の子供たち、周りからは微笑ましそうに見られていた。
勿論、子供たちだけで外出が許される訳はない。 子供達の前後には10人程の護衛が付いていた。
カールは久しぶりの外出である、クーガの季節でアポロニア島は観光客であふれていたのだ。
中には素行の悪い人々も居るのだが、護衛を引き連れた子供たちに何かをする事もなかった。
カールは久しく行っていたなっかがメンバーのレベルを調べたがやっぱり他国との真剣勝負に近い大陸予選を勝ち残っただけに、皆のレベルが上がっていた。
【名前】カール・フォン・アーレンハイト
【種族】人間族(今は) 【性別】男性 【年齢】5歳
【称号】伯爵家五男 転生者 女神ディアナの使徒 女神ディアナの眷属
召喚獣:神聖皇竜ハイド 、天狐ヨウコ
【レベル】512
【体力】 148,900/148,900
【魔力】 898,450,000/898,450,000
【能力】 S+++
【名前】ルーク・フォン・ミシュガン
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】5歳
【称号】男爵家次男 初級武道家
【レベル】16
【体力】 985/985
【魔力】 800/800
【能力】 D
【名前】キッシュ・フォン・レイニー
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】5歳
【称号】騎士爵家長男 初級剣士
【レベル】19
【体力】 840/840
【魔力】 500/500
【能力】 E+
【名前】クリスティナ・フォン・ハイランド
【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】5歳
【称号】王家第四王女 礼儀作法 淑女の嗜み 中級剣士
【レベル】27
【体力】 650/650
【魔力】 750/750
【能力】 D+
【名前】アメリア・フォン・ロードメア
【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】5歳
【称号】伯爵家長女 礼儀作法 淑女の嗜み 中級魔法士
【レベル】28
【体力】 450/450
【魔力】 2200/2200
【能力】 C-
【名前】ジェファーナ・フォン・シュトラーゼ
【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】5歳
【称号】子爵家長女 礼儀作法 淑女の嗜み 中級武道家
【レベル】23
【体力】 985/985
【魔力】 200/200
【能力】 D-
また、初等学部のフラッグメンバーも軒並みレベルが上がっていたのだ
【名前】リンツ・フォン・コンラート
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】7歳
【称号】子爵家 三男 礼儀作法 初級武道家
【レベル】18
【体力】 1052/1052
【魔力】 650/650
【能力】 D
【名前】ランベール・フォン・バーバル
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】7歳
【称号】男爵家 次男 礼儀作法 初級武道家
【レベル】17
【体力】 1123/1123
【魔力】 770/770
【能力】 D
【名前】カルロス・フォン・ファーガス
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】7歳
【称号】伯爵家 六男 礼儀作法 中級魔法士
【レベル】25
【体力】 650/650
【魔力】 1800/1800
【能力】 C
【名前】サリー・フォン・ブラッドリ
【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】7歳
【称号】子爵家 四女 礼儀作法 淑女の嗜み 中級魔法士
【レベル】23
【体力】 550/550
【魔力】 1500/1500
【能力】 C-
【名前】リシテア・フォン・コーデリア
【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】7歳
【称号】子爵家 四女 礼儀作法 淑女の嗜み 初級武道家
【レベル】18
【体力】 1110/1110
【魔力】 630/630
【能力】 D
【名前】クローディア・フォン・オックス
【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】7歳
【称号】伯爵家 次女 礼儀作法 淑女の嗜み 中級剣士
【レベル】16
【体力】 980/980
【魔力】 700/700
【能力】 D+
わぁ~ 皆 レベルと云うか能力が上がっているなぁ
カールが調べたこの情報は、3歳の目覚めの儀式で神より授かった聖紋に刻まれていたものだ。
本来、カールが調べた情報は本人以外が勝手に見る事の出来ないものだったのだが。。。。
この時、カールは気が付いていなかった。
他国に来たという、開放感から色々なお店を覗くハイランド王国初等学部の生徒たち、幾ら事前の注意が有ったとしてもそこはまだ子供である 迷子になりそうに成り注意する護衛達も大変であった。
このクーガが行われるアポロニア島は綺麗な碁盤の目状の道で区画され、迷うことは無いと云われているのだが、カールとクリスティナ、アメリアはエルフ族と思わしき小さな女の子を保護していた。
エルフ族は生まれてから、20歳位までは人族と同じような成長過程を辿る。 しかし20歳を超えるとまるで成長が止まってしまったのではないかと思える程、成長速度は低下し平均して1000年位の寿命を持っているのだ。
話は少し前に遡る。
普段、王城や屋敷から出た事のない クリスティナとアメリアは見るもの全てが珍しく、色々なお店を物珍しげに覗きながら散策をしていた為、初等学部の先輩や護衛をしている人々との間に少し間が開いてしまっていた。
カールとしては妹のマリアが連れてきたのか、アポロニア島の上空、街並みの遥か空の上には神聖皇竜ハイドが優雅に舞っていたのだ、ハイドはカールの護衛としても優秀であったのだ。
「カールさま 前方の左の脇道に逸れた辺りの先で小さな子供が迷子の様で泣いておりますが。。。」ハイドはカールを中心とした100mの様子を念話を用いて報告していたのだ。
カールは慌てず、クリスティナとアメリアを自然な形で誘導しながら、ハイドが指定した脇道で泣いている幼い幼女を保護したのだった。
さて保護はしたもののどうしたものか?
クリスティナとアメリアにしてもまだ5歳である、彼女たちも保護をした幼女と大して変わらない ましてここはハイランド王国ではなくアポロニア島である。
ひとまず名前だけでも聞いてみよう。。。。。
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