第51話
◇◇クーガのイーストウッド大陸予選が始まった。
予選は初等学部が4日間の内3日行った後に新人戦が3日間行われる。
新人戦の後に決勝の意味で初等学部の最後の1日が行われる。次が中等学部が4日間行われ、最後が高等学部の4日間で計15日間の競技がある。
クーガは新人戦を除き、各学部ともに男女其々10名、計20名で登録される。
内訳は魔法、武術、剣術が各々3名ずつにケガなどの為の補欠が1名である
全て総当たり戦を行う為に、どうしても交代要員が必要になる。
会場は近衛騎士団の室内演習所を4つに区切り、4試合が同時に開催される。 毎年の恒例として開催国が初戦を飾る事に成って居たのだ。
クーガ初日が武術の女子と剣術の男子 2日目が魔法の男子と剣術の女子 3日目が魔法の女子に武術の男子となり男女が交互に試合を行う。 また試合内容も同じ日に同じ種目は行わないようになって居るのだ。
これは、観客の目を楽しませる事が目的と云われているが 実態は定かではない?
「さぁ~ 始まりました 最初は開催国のハイランド王国 対 ディノス帝国の武術女子! 開始早々、ハイランド王国からの激しい攻撃にディノス帝国は受け身一方だ!」
各学園から選ばれたサポートチームが実況中継を行っていく これも毎年の事で楽しみの一つになって居るのだ。
「流石です!! 初戦にハイランド王国女子はあのコーデリア流武術宗家の4女 リシテア・フォン・コーデリアを持ってきました 一気に流れを作ろうと云う作戦の様です。」
こうした作戦の甲斐が有り、流れは一気に ハイランド王国へ傾き 女子は1勝を勝ち取った。
この後、順調に試合は進み 当初の予想通り初等学部の女子1位は獣人族のホールミア獣人帝国が勝ち取った 次の2位は例年の流れを断ち切り、ハイランド王国女子が僅差でもぎっとた そして3位が魔人族のディノス帝国、4位がコーラル連邦となった。
<初等学部 武術女子>
・ハイランド王国 10点
・モナード公国 0点
・ホールミア獣人帝国 20点
・ローランド聖王国 0点
・コーラル連邦 1点
・ディノス帝国 5点
次は剣術の男子と成る。どうしても剣術は大技に拘る傾向が強いのだ、特に力に拘る獣人族や魔族の選手に顕著に出ていた そこで、剣術は男女ともに最小の動きで相手を攻める作戦をカールは提案していたのだが、それが功を奏し順調に勝利を得ていた。
俗に云うところの後の先だ どうしても大技は隙が出来易い、それを最小の動きでポイントを重ねていく作戦で有った。
実はこの作戦を提案した時に代表選手に嫌な顔をされ、どうしても賛同を得られなかったのだ。 そこで新入生のキッシュ・フォン・レイニーと練習試合を行ってみたのだが 5戦4勝で新入生に軍配が上がってしまったために、この作戦の有効性を認めざるを得なくなった。
その結果、全ての代表から勝ちを取ることが出来、優勝を捥ぎ取った。 2位は意外にもコーラル連邦、3位はローランド聖王国が勝ち、4位はホールミア獣人帝国を力ずくで破ったディノス帝国となった。
<初等学部 剣術男子>
・ハイランド王国 20点
・モナード公国 0点
・ホールミア獣人帝国 0点
・ローランド聖王国 5点
・コーラル連邦 10点
・ディノス帝国 1点
・ハイランド王国
「いゃ~ぁ カール君!! 君の提案通りに成ったな! やっぱりホールミア獣人帝国は本能に近い動きをするから、リシテアを始めに持ってきて一気に流れを掴んだのは正解だったよ。」
「本当よね リシテアが2位に入ったのは大きいわ」
「そうよね。 その流れで一気に4勝だもの 凄いわ」
「それに男子の剣術よ、良く大技を我慢したと思うわ」
剣術は各国の騎士団幹部や貴族家が多く見に来るためにどうしてもアピールの場に成り、目立つ大技が大勢をしめてしまう
「そうだな でも大技を封印して点数を稼ぐ作戦は悪くなかったな」
「何言ってる? 初めはあんなに嫌がってたくせに!」
「だって 折角、色々な騎士団の幹部や貴族家の重鎮が見に来ているんだぜ 良い所、見せたいと思うのは仕方ないと思わないか?」
「でも、まさか優勝できるとは思わなかったぜ!」
「うん そうだね カールさまさまだな!」初戦の出足は好調であり、皆から笑顔がこぼれていた。
・モナード公国
「どうする? 初日は、全然いい所が無かったな」
「仕方ないわ 私達 エルフ族はどうしても、肉体的には弱いもの でも明日は得意の魔法だから頑張りましょ!」
・ホールミア獣人帝国
「いゃ~ 危なかったわね でもハイランド王国のリシテアって女子は強そうだったな!」
「私と当たったら分からなかったかも?」
「まさがハイランド王国が2位に成るなんてね 今年の武術の女子は当たり年だったのかな~」
・ローランド聖王国
「我が聖王国の将来を担う騎士が剣術で3位とは。。。 来年からはもっと鍛えねばならんな!」
「はぃ 明日の女子の剣術に期待をしよう!」
・コーラル連邦
「参った!!! 」
「今年はバランスが良いのだけど、どれかに特化した人材が居ないからな~~! ふぁ~ぁ」
・ディノス帝国
「身体能力に劣る人族に負けるとは。。。。 やっぱり人材不足だな~~」
「でも、明日は魔法だから何とか挽回が出来ると思う?」
こうして各国、おのおの反省や思惑を秘めた初日は波乱の幕開けを告げる兆しを見せて終了した。
大会二日目は男子の魔術である。
魔術だけは対人戦ではなく、魔法発動までの速さと正確さに威力の3つの要素が試される。
競技としては至ってシンプルで6人が同時に行う。10m、30m、50mの的を如何に速く当てるかである。 当たった的は当たった順位が表示されると同時にその時の威力も表されるのだ。
3つの的、全てに当てるまでの合計時間が順位として表される。 幾ら早く魔法を発動で来ても、的に当たらなければ得点には成らず、正確性が要求されるのだ。
更に的に当たってもその威力が無ければ点数も、低く成ってしまう。
魔法師としてはかなり高い技術が要求されるのだが、そこはまだ初等学部である 。。。。。。
競技は圧倒的な魔力量を誇る、モナード公国が全ての面で他を圧倒して優勝をした。、2位は僅差でディノス帝国がとり魔族としての意地を見せた。 3位は他の予想を覆しハイランド王国が勝ち取った。
4位にコーラル連邦が何とか食い込み、点数を獲得した。
<初等学部 魔法男子>
・ハイランド王国 5点
・モナード公国 20点
・ホールミア獣人帝国 0点
・ローランド聖王国 0点
・コーラル連邦 1点
・ディノス帝国 10点
昼食を挟み、午後の女子の剣術が始まった。
剣術は予想を覆しローランド聖王国が優勝を勝ち取った、僅差で2位はディノス帝国、3位にハイランド王国と続き4位にコーラル連邦も辛うじて食い込むことが出来た。
<初等学部 剣術女子>
・ハイランド王国 5点
・モナード公国 0点
・ホールミア獣人帝国 0点
・ローランド聖王国 20点
・コーラル連邦 1点
・ディノス帝国 10点
2日目はローランド聖王国とコーラル連邦が意地を見せ、巻き返しを図ったと云えた。
さぁ 3日目で有る、明日から新入生の戦いが始まる。
これは、まだ未熟な初等学部の学生を休ませて万全な体制で最終日のフラッグを戦わせようと云う、運営の親心である。
3日目は魔術の女子からである、魔術は云わば頭脳戦とも云える為に幼いうちはどうしても女性の方が優秀である。 やはり発育の違いなのかもしれない。
魔術は初等学部のリーダーであるサリー・フォン・ブラッドリが目覚ましい活躍をして、全体で1位を獲得したが、3人の合計で競う為、モナード公国に優勝を攫われた。2位はハイランド王国で3位がコーラル連邦、4位はディノス帝国である。
コーラル連邦はやはり確実に点数を稼いで来ていた。 どうやら、事前の情報通り特化型ではなくバランス型の様だ。
<初等学部 魔術女子>
・ハイランド王国 10点
・モナード公国 20点
・ホールミア獣人帝国 0点
・ローランド聖王国 0点
・コーラル連邦 5点
・ディノス帝国 1点
3日目最後は武術の男子である。 やはり女子と違い男子の武術は迫力が違った。
種族の特徴ともいえる、パワーに敏捷性を備えた獣人族は他を圧倒して優勝を捥ぎ取った、2位は事前の予想通り頑強な身体を持つディノス帝国がとり、3位と4位を人族のハイランド王国、ローランド聖王国、コーラル連邦で争った。
ほんの僅差だったのだが、ハイランド王国に軍配が上がり3位を獲得した、4位はコーラル連邦である。
<初等学部 武術男子>
・ハイランド王国 5点
・モナード公国 0点
・ホールミア獣人帝国 20点
・ローランド聖王国 0点
・コーラル連邦 1点
・ディノス帝国 10点
こうして初等学部のクーガはフラッグを除いて全て終えた。
<初等学部> 男子 女子
・ハイランド王国 30点 25点
・モナード公国 20点 20点
・ホールミア獣人帝国 20点 20点
・ローランド聖王国 5点 20点
・コーラル連邦 12点 7点
・ディノス帝国 21点 16点
ここでひとまず初等学部は3日間の休憩に入り、フラッグの試合の為に作戦を再度 練り直す。
明日からは将来の初等学部、中等学部、そして高等学部の行く末を占う 大事な戦いを迎える。
そして、愈々 カールの出番が始まる。 カールは成るべく目立たない事を心掛けているのだが 未だに手加減の仕方が身に付いて居ないようである。
カール以外のメンバーは出来れば、魔法競技場になって居る 近衛騎士団の演習場を破壊する事だけは避けて欲しいと願っていた。
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