第7話
頭を上げたけど。 フロアーは静寂が支配をしていた ん。。。 どうした 何か拙い事でもしてしまったのだろうか 挨拶を含め人前で話す事は今までに嫌って云うほどしてきた 自然と出来る。 挨拶は既に体の一部となって居た。
(子供バージョンで話したはずだけどな。。。。。。。。。?)
実際は3歳の子供の挨拶では無かった 周りを見渡せばポカーンとした招待客
笑顔を引き攣らせた父のフィリップ・フォン・アーレンハイトはフロアーに集まった招待客に向かい
「3歳児らしくない挨拶だったが、皆も宜しく頼む! では乾杯」と語りだした。
「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」
各自、手に持った金属のグラスを掲げた そして 驚きから覚めた招待客から拍手が鳴り響く 皆は周りの人々と今の挨拶に付いて話し合っていた カール・フォン・アーレンハイトは神童だろうかと
カールは子供バージョンの挨拶の心算がまだまだ甘かった事に気が付き心の中で苦笑いをしつつ表面上は当然だと云わんばかりの笑顔を浮かべていた。
続けて、招待客からの挨拶が始まる 招待客はおよそ100名位だ 身分と立場により順次挨拶に来る 初めに来たのはアーレンハイト家の双璧と云われる武の要シュワルツ・フォン・アーレンハイトだ カールの祖父アウグストが平民との間に設けた庶子だったが、度重なるスタンビートで活躍し武官として王国近衛騎士団に入り活躍後、父の右腕的存在になった人物だ!
「カール シュワルツはまだ若いが幾多の魔物と戦い 勝利を得ている強者だ 色々と学ぶと良い!」
父から初めに紹介されたのが叔父のシュワルツだった。
「初めまして カール君 君の叔父に当たるシュワルツ・フォン・アーレンハイトだ 宜しくね 今は騎士爵連合家に接するアーレンハイト家の街キールでマティルダ様から指導を受けながら魔物や隣国からの侵略に備えている。 もし君が武の世界で生きていこうと思うのなら相談に乗れるよ まだマティルダ様には敵わないが強さも有るからね」
「シュワルツは強いぞ マティルダの弟子の一人だ」
武人としての雰囲気を漂わせた金髪で筋肉が貴族服から溢れている感じだ。
「シュワルツ男爵とは一緒に昔、よく遊んだ仲だ。シュワルツ男爵がこのアーレンハイト家を守ってるから、魔の森や隣国と接してるが安全なんだよ、よく覚えておけ」
父のフィリップが説明してくれる。
「マティルダ様のご指導とフィリップ様からの色々な補助のお陰で、兵士も揃えられてるし、助かってるよ。でもカール君のさきほどの挨拶といい、神童かな?」
「さぁ どうだろう 基本は教育係のハワードとシンディー兄妹が行い 専門はマルガレータ、アグネス、マティルダの三人が行う事になったからなぁ。」
「三人の奥様からのご指導ですか 素晴らしいですね! 五男だし、将来は婿の貰い手はいくらでもつきそうだね。うちに娘がいたらなぁ。 あはははは」
3歳児に将来の婿の話をされても困る
「ありがとうございます。神童では無いと思いますがこれから色々と勉強をして 学園に入るまでは、母さん達に沢山教わろうかと思っています。」
「マティルダ様からのご指導も受けると云う事はキールの街まで来るんだね 楽しみだ!」
「はぃ その節は宜しくお願いします」
「ますます 3歳児らしくない受け応えだな! だが シュワルツ 宜しく頼む」
「はい カール君 待っていますね!」
将来が楽しみだな~ と呟きながら 次の人に譲る
「アーノルド・フォン・ゼグザーです 今は此処、ルーンの街の執政官をさせて頂いております」
基本 妻達は街を離れず 夫である、フィリップが必要に応じて王都や各街を視察する
現在 王都の代官は第1夫人のマルガレータ ここルーンの代官は第2夫人のアグネスそしてキールの代官を第3夫人のマティルダが務めている
執政官は代官の下で多くの内政官を部下に持ち色々な政を調整する、云わば武に対しての知の要である 普通、代官はお飾りで執政官が全てを取り仕切っている事が多い
「カール いつも書類の山を抱え 私を探している人よ」アグネスはクスクスと笑いながら話し出した
「私はお飾りなんだから 適当に印を押してくれて良いと云っているんだけど ダメみたい」
「あははは アグネス奥様をお飾りに出来る人は居りません! マルガレータ様と主席を争い、学院では知の祭典:クーナでは絶えず上位に居た人ですからね」
アグネスは魔法を極めるため、多くの文献を調べ幾多の実験を絶えず行っていた 実験には予算が必要となる為だ、クーナで発表し評価を得て上位にランクすると多くの予算が貰えたからに過ぎない(指導教諭からは秘密にするように云われていた)
ちなみに知の祭典:クーナに対して武の祭典:クーガは武官達には登竜門とされ、クーガ上位者は将来の幹部候補とされていた マティルダはこのクーガで11年連続 1位と云う快挙を達している
アーノルドはアグネスの息子であるカールを見ながら笑顔で答えていた。
「カール この領都であるルーンの事で知りたい事が有ったら 何でもアーノルドに聞くと良いぞ!」
「はい 父上、母上 解りました アーノルド子爵 色々と宜しくお願いします。」
「カール様なら喜んで文官に成れる教育をさせて頂きます。」
アーノルドはカールの挨拶から知性の煌めきを感じていた、カールは5男だからこのアーレンハイト家を継ぐ事は出来ない、だから臣下に下がったカールをアーノルド子爵の養子に迎えても良いかもと思っていたのだ。
「あははは アーノルド カールはまだ3歳だ! 学院にも通っていない 幾多の才能の煌めきは有るが 青田買いはダメだぞ!」
フィリップは上機嫌であった アーノルド子爵は名門中の名門ゼグザー侯爵家の3男だった
本来は3男だと爵位は無いのだが 己の才覚で昇爵した天才だった
貴族は自分の領地をもつ者に対し領地を持たない者を法衣貴族と云う(単に領地の有無だけの違いだけどね)
ちなみにシュワルツ・フォン・アーレンハイトも法衣貴族であり、アーノルド・フォン・ゼグザーも法衣貴族である そして通常は法衣子爵とか法衣男爵とは云わない事になっている。
こうした紹介が進んでいった、まだまだ 配下の貴族(寄り子)も居るし、商家の者に各ギルドの幹部たちにも紹介しなくてはならない 先は長そうである。
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