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「スピカ、今日は森を抜けて、山を登って、谷も越えるから、しっかり食べよう」


「オーケージャック。おいしいわ」


 朝から香ばしい肉をたっぷり。ドライフルーツと、きのこをたっぷり。


 二人は満足するまで朝ごはんを楽しんだ。


 どこかで小鳥たちが鳴いている。

 美しい羽の鳥たちかもしれない。


 食事を終えるとすぐに旅に出る。


 しばらくは昨日のような、緑豊かな景色が続いた。


 しかしやがて、乾いた風が吹き始め、緑がまばらになってくる。


「痛っ!」


「スピカ、ストールで顔を覆うんだ、風に砂利が混ざってる。一歩ずつ、踏みしめて進むんだ」


「わかったわ」


「獣よけのランタンも点けて進もう」


 炎のような赤が灯り、ジャックはバランじいやシリウスのことを、思い出した。

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