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 いつのまに眠ったのか、テントの隙間から差す朝日が目に眩しい。


「朝日なんて久しぶりだ」


 チョッキを着て外に出ると、スピカが体を伸ばしていた。


「毎朝ランニングしているのよ。運動したくなっちゃって」


 手足をぐーんと伸ばす。慣れない朝は、少し欠伸あくびも出てしまう。


「僕はまだチョット眠いや。けどそろそろ朝ご飯の支度をしよう」

「手伝うわ」

「毎日やっているから大丈夫。そうだスピカ、あの木までだったら、走ってきてもいいよ」


 昨日の夜、念のためテントの周りに生き物の足跡がないか、変わったニオイはないか、確かめていた。危険な気配は無い。


「本当に?じゃあ走ってくるわ」


 スピカは走り、ジャックは朝食づくりをいつものように楽しむ。


 途端に、居心地の良い朝だ。

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