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「ずいぶん長く旅をしてきたけど、まだまだ知らないことばかりだ」


 歩き始める。青空の下を。


「旅もいいわね。ねぇジャック、今まで見てきたものの中で、一番綺麗だったものはなに?」


「やっぱりオーロラかな。でも誰かが造ったものなら、シリウスの光が一番かもしれない」


「あら!私もオーロラをいつか見たいわ」


「スピカも好きだと思うよ」


 緑豊かな草原を抜けて、美しい森の中を歩く。


「私もそう思う。ねえ、じゃあ一番恐ろしかったことは?」


「うーん、旅に出たばかりの頃、道に迷ってしまったことかな。あの頃は爪が光るってことを知らなくてさ。暗闇が恐ろしかった」


「それは怖いわね」


 小川を飛び越え、やがて夜になる。


 ランタンを灯すと、夜の中に故郷が映った気がした。

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