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「あれは僕もみたことないや」


 旅の空を駆ける太陽が燃えるような炎の色の赤い鳥。


 水晶のトンネルの出口で、スピカは深い空を見上げた。


 雲一つ無い青に、みちを示すように飛ぶ鳥。


「あれはきっと幸運の鳥だわ」


「スピカ、幸運の鳥といえば、青じゃない?」


「青とは限らないわ。あれは幸運の鳥よ」


「そんな気もしてくるね」


「きっとそう。ありがとう、幸運の鳥」


 大きく手を振る。


 鳥が一瞬、こちらを見た気がした。


「幸運の鳥か……」

 

 鳥が大空に羽ばたいていく。向こうの空へ高く飛ぶ。


 暖炉のような暖かい炎色が青い空を彩り、綺麗だった。


「綺麗ね……」


「……うん」


「ねえジャック、世界にはあんな風に、見たことのない綺麗なものや珍しいものが、たくさんあるのね」

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