158

「スピカ、お待たせ」

「ジャック?どこ?」


 跳ね橋の薄闇に友人ジャックの姿はないように思えた。


 ふわ、と温かい気配がして、ジャックの爪が金色に灯る。


「あ、居た。驚いた、ワープしてきたの?」

「歩いてきたよ。僕は少しの明るさがあれば大丈夫なんだ」

「そうだったの」


 二人は城の門をすり抜けて、準備した荷物を背負った。


「ジャック、この数日、旅について教えてもらったことは、全部このメモにまとめたわ」


 スピカは小さなメモ帳をガウチョのポケットにするりと入れ、上着のボタンをしっかりと閉じた。

 それからブーツとガウチョの隙間を無くすように、ガウチョの裾を紐できゅっと閉じた。


「スピカ、旅のしおりに絵も描いたかい?気を楽に、深呼吸して行こう」


「オーケー!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る