157
旅立ちの時は、もうすぐにも思えたし、遠い未来のようにも感じる。
約束の時間まで、まだ大分ある。
スピカは城の門の隙間をすり抜けて、深呼吸していた。
これはスピカにとって初めての旅になる。絶対に失敗できない。
朝食が終わる頃には、シリウスも青空が見える。普段なら。
けれど、とうに動き出した世界はまだ暗く、けれども空気は温かくしんと澄んでいて、跳ね橋の向こうの世界に、マーマレードのような灯りがところどころ灯っていた。
「こんな状況でも、みんな、元気に過ごしているんだわ」
スピカは跳ね橋の向こうにジャックのランタンが現れるのを待った。
空のカプセルに包まれるみたいに、スピカの姿が跳ね橋の上に浮かんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます