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「ジャーック!」


 遠くから声がした。

 ぽつん、ぽつんと灯る街灯の下を、バランじいが走ってくる。


「はぁはぁ」


「バランじい、大丈夫か?」


「なんだ、鍛冶屋のせがれもいたのか」

「いちゃ悪いのかよ」

「悪いなんて言うとらんじゃろ」


「それで、どうしたの?」


 ジャックの質問に、バランじいは木綿で包まれた何かを差し出した。


「ジャック、これを持っていけ、はぁはぁ……床掃除を一心不乱にしていたら思いついたんじゃ。猛獣は特定の光を嫌がるのじゃ。それをガラスに再現できないかと思ってな。安心しろ……外枠はハッティのものだ」


 指輪のようなそれは、スイッチを入れると暖炉のような赤い光を放った。


「安心な旅ができるようにな。寝る時に点けて寝ると猛獣がこんよ」

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